ポルシェ911(992.2)のハイブリッドはTハイブリッドと呼ばれる
ポルシェ911の992の前期型と言われる992.1型ポルシェ911が発表されたのは2018年11月28日のことでした。
あれからはや6年半。世界中のポルシェファンの皆様が「まだなの、いつなの」と今か今かとずっと楽しみにしてきた992後期型、いわゆる992.2型がついに2024年5月28日(火)に発表されました^^
この日を待っていた。嬉しい!
この6年半、私の中でも色々と考えも変わりました。最初はまだまだポルシェについての知識もほとんどないところから始まり、その後911が電気自動車になるとかハイブリッドになるとかいう噂が出てきたら「えーそんなのヤダーーー」とまずは否定。
…からの、またそこから数年たって自分の中でも色々な考えた出てきたりすると、今ではもう「ハイブリッドの911にも興味あるな」なんていう思いになってきたり(単純)。
では、ポルシェAGの911/718モデルライン副社長であるフランク・モーザー(Frank Moser)氏が中心となり、司会のClaire Jedrekさんとシュトゥットガルトから発表あれたポルシェ911(992.2)のワールドプレミアの内容を見てみたいと思います^^
大幅に性能が強化された『T-ハイブリッド』
新型ポルシェ911 (992後期型)とは
- 911カレラGTS→ 新開発の3.6リッター水平対向6気筒エンジン、電動ターボチャージャー、電動モーター搭載の軽量なTハイブリッド
- GTSにはアクティブエアロダイナミクスを採用した印象的なデザイン
- 完全にデジタル化されたコックピットと拡張されたコネクティビティ(接続性)
- 911カレラ→ 改良された3.0リッター水平対向6気筒エンジン搭載
- アイコニックな911で2024年の製品発表をしめくくる
- 新しい911カレラGTSは超軽量パフォーマンスハイブリッド搭載の初の公道走行可能なポルシェ911
- 排気量3.6リッターの新開発の革新的なパワートレインシステムは、大幅に改善された運転性能を提供
- 911カレラGTSクーペは0-100km/hが3.0秒、最高時速312キロ
- 911カレラは軽く改造された3.0リッターツインターボ・ボクサーエンジン搭載、先代よりもパワフルに
- 新しい911は刷新されたデザイン、より優れたエアロダイナミクス、新鮮なインテリア、アップグレードされた標準装備、そして拡張された接続性が特徴
モータースポーツからインスピレーションを得た: 革新的なパフォーマンスのハイブリッド
- 新型911カレラGTSモデルにはモーターレースから得た知識をポルシェのエンジニアがハイブリッドシステムの設計の基礎として使用
- 911に完全に適合するハイブリッドシステムを見つけるため、様々なアイデアをアプローチを開発・テストした
- その結果生まれたのが911の全体的なコンセプトに適合し、パフォーマンスを大幅に向上さえる独自のドライブ
- 軽量でパワフルな『Tハイブリッドシステム』には新開発の電動排気ガスターボチャージャー搭載(electric exhaust gas turbocharger)
- コンプレッサーとタービンホイールの間に組み込まれた電気モーターが、瞬時にターボチャージャーの速度を上げ、それにより即座にブースト圧が発生
- 排気ガスターボチャージャー内の電動モーターはジェネレーターとしても機能、最大11kW(15PS)の電力を生成
- このエネルギーは排気ガスの流れから抽出される
- ウェイストゲートのない電動ターボチャージャーにより、以前の2つのターボチャージャーにかわって1つのターボチャージャーのみを使用できるため、よりダイナミックで応答性の高い電力供給が保証される
- パワートレインには新しいより強力な8速デュアルクラッチ・トランスミッション(PDK)に統合された永久磁石同期モーターも含まれる(a permanent magnet synchronous motor)
- アイドル回転数でも最大150Nmの追加駆動トルクで水平対向エンジンをサポートし、最大40kWのパワーブーストを提供
- ポルシェは両方の電動モーターを軽量でコンパクトな高電圧バッテリーに接続している
- サイズと重量は従来の12ボルトスターターバッテリーと同等だが、最大1.9kW(グロス)のエネルギーを蓄え、400Vの電圧で動作する
- 全体の重量を最適化するために、12Vオンボード電気システム用に軽量のリチウムイオンバッテリーを搭載
- T-ハイブリッドドライブの心臓部は新開発の3.6リッター水平対向エンジン
- 高電圧システムによりエアコン・コンプレッサーを電動で駆動することが可能になり、ベルトドライブが不要になったことからエンジンが大幅にコンパクトになった
- それによりパワーユニットの上にパルスインバーターとDC-DCコンバーター用のスペースが生まれる
- ボアは97㎜、ストロークは81㎜に拡大され、先代に比べて排気量は0.6リッター増
- エンジンにはバリオカム・カムシャフトコントロールとロッカーアーム付きバルブコントロールが装備
- マップ全体にわたり燃料と空気の理想的な混合比(ラムダ=1)を維持する
- 電動アシストなしでも、水平対向エンジンは357kW(485PS)の出力、570Nmのトルクを発生
- システムの合計出力は先代から45kW(61PS)増の398kW(541PS)、合計トルクは610Nm
- 新型911カレラGTSは0-100km加速も先代を上回る(3.0秒)
- この効率的なパフォーマンスハイブリッドは非常にダイナミックな走行特製を実現すると同時に、プラグインハイブリッド車と比較して余分な重量を大幅に減らすことによりCO2排出量を削減する
- 先代モデルからの重量増加はわずか50キロの1,595キロ
- 新型911カレラは992.2でもツインターボを備えた3.0リッター水平対向エンジン搭載、このエンジンも全面的に刷新された
- 特にターボモデルから採用されたインタークーラーはエンジン上部のリアリッドグリルの真下に配置されている
- 911カレラのターボチャージャーは先代ではGTSモデル専用だったもの
- これらの改良により排出ガスの低減と最大トルク450Nmに加え290kW(394PS)までの出力向上を同時に達成
- 新型911カレラクーペの0-100km/hは先代より0.1秒速い4.1秒(スポーツクロノパッケージ仕様車は3.9秒)、最高時速は先代より1km速い294km
最適化されたサスペンションとアクティブエアロダイナミクス
- 新型911カレラGTSのサスペンションも包括的に見直されている
- リアアクスルステアリングが初めて標準装備で搭載、高速走行時の安定性が向上し回転半径が小さくなる
- ポルシェ・ダイナミックシャシーコントロール(PDCC)アンチロール安定化システムをパフォーマンスハイブリッドの高電圧システムに統合
- これにより電気油圧制御システムの使用が可能となり、システムの柔軟性と精度がさらに高まった
- 可変ダンパーシステム(PASM)を備えたスポーツサスペンションと、10㎜下げた車高がGTS特有のハンドリングを提供
- 新型911のホイールには計7つの19/20インチ、または20/21インチのホイールデザインが用意されている
- 911カレラに初めて採用されたエクスクルーシブデザインのホイールは空気抵抗係数を低減し、効率を高めるカーボンブレードが備わっている
- 新型911カレラGTSは幅11.5インチの21インチホイールと315/30 ZR 21タイヤをリアに標準装備、フロントには245/35 ZR 20タイヤを8.5インチ幅の20インチホイールに装着
- 性能の大幅な向上に伴い、リアタイヤの接地面積を広げたことで911カレラGTSのドライビングダイナミクスとトラクションが向上
スポーティーに合理化されたエクステリア
- 新型911のエクステリアデザインは注意深くターゲットを絞ったアップデートにより合理化
- その対策のほとんどはエアロダイナミクスとパフォーマンスを向上させるもの
- 今回の変更点には新しいモデル専用バンパーが含まれる
- またポルシェは初めて911の標準装備となった特徴的な4灯のグラフィックを備えたマトリックスLEDヘッドライトにすべてのライト機能を統合
- これによりフロントドライビングライトを省略することが可能になり、車両のフロントに大型の冷却ベントを設けるスペースが生まれた
- 新型911カレラGTSモデルのフロントエンドには、外側から見える5つの縦に配置されたアクティブ冷却エアフラップと両側に隠れたフラップ
- 911では初めてこれらのフラップがアンダーボディのアダプティブ・フロントディフューザーによって補完され、冷却エアフラップと一緒に制御される
- これらのエレメントは必要に応じて空気の流れを制御
- 必要なパワーが最小限の場合、フラップを閉めてエアロダイナミクスを最適化、サーキット走行などパワーの要求が高い場合、フラップは大量の空気を車のラジエーターに送る
- アシスタンスシステムのセンサーは、ナンバープレート下の光沢面の裏側に配置
- オプションで32,000以上の光点を備えたHDマトリックスLED機能を装備する新しいヘッドライトもある
- 高性能ハイビームは600m以上先まで道路を照らす
- ドライビングモードに依存するダイナミックコーナリングライト、レーンブライトニング、工事現場・ボトルネックライト、ピクセル単位で精確な防眩ハイビームなど、革新的な追加機能も提供
- 再設計された一体型のアークと「PORSCHE」ロゴを統合したライトストリップのデザインは911のリアエンドをより深く、より広く見せる
- 再設計の各サイド5枚のフィンを備えたリアグリルは、リアウインドウに接続し下の格納式スポイラーに溶け込むグラフィックユニットを形成
- ナンバープレートの位置を高めに設定し、すっきりとした構造のリアバンパーを採用
- モデル専用のエグゾーストシステムは、印象的なディフューザーフィンにエレガントに統合
- 911カレラモデルにはオプションでスポーツエグゾーストシステムも利用可能
- 911カレラGTSモデルにはGTS専用のスポーツエキゾーストシステムが標準装備
- オプションのエアロキットは911クーペのパフォーマンスをさらに高める
- このエアロキットには、ユニークなフロントスポイラーを備えた特徴的なスポーツデザインフロントバンパー、それにマッチしたサイドシルパネル、軽量の固定式リアウイングが含まれる
- これらのコンポーネントは揚力を低減しスポーツカーのグリップを向上させる
フルデジタルなコックピットと拡張されたコネクティビティー
- クーペモデルでは、新型911のインテリアを2シーターとして標準設計
- 追加料金なしで2+2シートの構成も可能
- コックピットにはお馴染みの911デザインのDNAと最新のテクノロジーが組み合わされている
- ポルシェドライバーエクスペリエンスコントロールコンセプトは、ドライバーを中心とした直感的で素早い操作に重点を置く
- 重要なコントロールエレメントはステアリングホイール上またはステアリングホイールの周囲に直接配置
- そこには標準装備のドライビングモードスイッチ、改良されたドライバーアシスタンスレバー、そして911では初となるステアリングの左側にあるスタートボタンが含まれる
- センターコンソールの収納コンパートメントには、電磁誘導充電機能付きのスマートフォン用の冷却コンパートメントがある
- 911に初めてフルデジタルのメーターパネルを装備
- 12.6インチの曲面ディスプレイは新しいコントロールとディスプレイのコンセプトにエレガントに適合し、幅広いカスタマイズが可能
- 中央にタコメーターを配置した伝統的なポルシェの5連メーターにインスパイアされた独自のクラシックディスプレイを含む、最大7種類の表示が可能
- ポルシェコミュニケーションマネジメント(PCM)システムは10.9インチの高解像度センターディスプレイで操作し、ドライビングモードのカスタマイズ性やドライバーアシスタンスシステムの操作性が大幅に改善
- 新型911には新しいコネクティビティー機能も装備
- QRコードはポルシェIDによるPCMへのログオンプロセスを大幅に簡素化
- Apple CarPlayは車により深く統合、必要に応じてメーターパネルに情報を表示し、Siri音声アシスタントなどを介してAppleエコシステムで車両機能を直接操作することが可能
- 今回から初めて駐車中のビデオストリーミングもオプションで利用できるようになった
- SpotifyやApple Musicなどのアプリはスマートフォンを接続しなくてもPCMのネイティブアプリとして使用可能
新型ポルシェ911 (992.2) 国内価格
日本国内での992.2型ポルシェ911は2024年5月29日(水)より予約受注が開始となります。
2024年5月28日時点で発表されている価格は以下の通り:
モデル | トランスミッション | ハンドル | 価格(税込) |
---|---|---|---|
911カレラ | 8速PDK | 右/左 | 1,694 万円 |
911カレラカブリオレ | 8速PDK | 右/左 | 1,943 万円 |
911カレラGTS | 8速PDK | 右/左 | 2,254 万円 |
911カレラGTSカブリオレ | 8速PDK | 右/左 | 2,503 万円 |
911カレラ4 GTS | 8速PDK | 右/左 | 2,365 万円 |
911タルガ4 GTS | 8速PDK | 右/左 | 2,615 万円 |
911カレラ4 GTSカブリオレ | 8速PDK | 右/左 | 2,614 万円 |
ちなみにヨーロッパでもカレラとGTSモデルが発売となっており、トランスミッションはPDKが標準装備。新型911カレラのクーペがVATと国固有の装備などを含め128,700ユーロ(約2,200万円)からとなっています。GTSが170,600ユーロ(約2,910万円)から、そしてGTSのオプションであるエアロキットパッケージの価格は2,713.20ユーロ(約46.3万円)。
GTSには全輪駆動とタルガボディ(全輪駆動のみ)の用意もあるとのことです(下に写真)。
まずはざっと発表された内容だけを見てみましたが、また落ち着いたらコンフィギュレーターをしてみたりして色々見てみてみたいと思います^^
ハイブリッド、なんだか登場しちゃうとあのフロントの縦フラップでさえかっこよく見えてきちゃうのは色のせい?なんなの?とりあえず興奮中で私がただポルシェにやられてるだけ(笑)?←たぶんこれ
続き→ポルシェ911 (992.2) T-HybridのTとは:新型ポルシェ911 Tハイブリッドパワートレインについて
主要諸元・標準装備リストはこちら→992.2型ポルシェ911 主要諸元と標準装備表(GTS、4GTS、タルガ4GTS、カレラ)
出典:
◆(公式)T-Hybrid for significantly enhanced performance
◆(公式)新型911カレラおよび911カレラGTSの予約受注を開始
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