Apple Vision Proを利用した空間コンピューティング技術
現在、テレビ・モニター・スマホ・タブレットといったフラットなスクリーンから2次元で様々な情報を得られるようになっているわけですが、さらにそれよりも進化した空間コンピューティングとウェアラブル電子機器による3次元の技術の活用においてポルシェは先陣を切ることを目指し中。
信じられないほどのディテールを実現
2024年の夏にスペインのアスカリサーキット(Ascari circuit)にて、メディア向けの新型ポルシェ911 カレラ GTSの試乗イベントが開催されたのですが、その時世界中からジャーナリストさんたちがその場に集まったわけです。
その場で使われたのが『Apple Vision Pro』。
それを使用しポルシェのエンジニアが新型911 GTSの新しいT-Hybridシステムの詳細を説明する際には一度に15人のグループが外装の下をのぞくようにと言われ、従来のプレゼンテーションでは不可能であった『車をそれぞれのシステムとコンポーネントに分解して、それらを持ち上げて下側を見たり回転させて空力特性を確認したりすること』が出来たのだそう。
パススルー機能付きのアップルビジョンプロとそれぞれのディスプレイには4K解像度のディスプレイシステムを使用。
これによりメディアの皆さんは車の下に通常は隠されていて見えないはずのハイブリッドパワートレインをばっちり見ることが出来、その技術についてもわかりやすく納得されたのだそうです。
詳細を効果的かつ迅速に視覚化
911にとって初めて出されたハイブリッドシステムとなる「Tハイブリッド」だけに、ポルシェからしたらこの新しい技術について完璧なビジュアルで正確かつ効果的、また迅速に説明できなければいけないと考えていて、実際にそれが達成されたのは極めて重要なことだと振り返られています。
通常こういった新車説明のワークショップの最後にはジャーナリストたちから質問が寄せられるとのことなのですが、今回はその最後の質問に出た内容たちも非常に的確であり、つまりそれは参加された方々が今回説明を受けた技術に対して明確な理解をしているということを示していたとのこと。
その後実際に参加されたジャーナリストさんたちによって報道された内容たちも、ポルシェが共有した複雑な情報を誤解して書かれている記事は1つもなかったそう。
今までは「いや、そういうことじゃないんだってば」ってことを書かれたこともあったということかな(笑)。
今回利用された没入型プレゼンテーションはHagertyのビデオ制作者であるHenry Catchpole氏を含む参加したジャーナリストの方にとって画期的な出来事でもあったようです。
Henry Catchpole氏はこのプレゼンテーションにより、新しいT-ハイブリッドシステムを素早く理解しさらにはApple Vision Proの高解像度グラフィックを活用してそれを自分の報道でもよりわかりやすく説明することが出来たそう。
ポルシェがこういった拡張現実の世界に足を踏み入れたのは数年前のタイカン ARイベントアプリだったそうで、これからもまだこういった体験をポルシェはどんどん進めようとしているようです。
続いてはAppleのSpatial PersonaとSharePlayを使ってメディアのゲストを世界中のどこからでもリモートで集客できるようにする予定だとか。
これが実現したら本当に世界中のどこからでもまるで同じ部屋に皆が集い、同じように技術的な詳細までをしっかり確認することが出来るようになるわけで、それはジャーナリストさんたちにとっても技術者にとってもポルシェにとっても便利。
まだまだ2Dでのプレゼンテーションも続くかとは思いますが、同時にこういった違うアプローチのプレゼンテーションもテストしているポルシェなわけですね~^^
出典:(公式)Transforming Porsche media events with spatial computing
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