Sonderwunschとは何か
『ゾンダーヴンシュ(Sonderwunsch)』とはそれぞれのポルシェオーナー様向けにポルシェの様々なカスタマイズを可能とするプログラムのことで、ゾンダーヴンシュという言葉の意味としては『Special request(特別なリクエスト)』。
つまり簡単に言えば特注という感じ。自分だけの特注ポルシェが作れちゃうのがゾンダーヴンシュ。
もともとは70年代後半に『Sonderwunsch programme』として提供されていたプログラムで、それがまた2021年くらいから公に復活してきているものとなります。
今回、このゾンダーヴンシュについての詳細説明が出ていましたので見てみました。いつの日か自分のポルシェもゾンダーヴンシュ出来る日が来ることを夢見て^^
以下、ここでの内容はポルシェのIndividualization and classic担当副社長であるAlexander Fabig氏が語られたものとなります:
- ゾンダーヴンシュはポルシェクラシックの修復および改修事業と、新車のパーソナライゼーションを担当するPorsche Exclusive Manufakturの両方と連携している
- Porsche Exclusive Manufakturは『カタログ』で、Sonderwunschは『オートクチュール』というのが違い
- 例えば米国では911ベースモデルに『14色の標準カラー』と『122色のPTSカラー』が選択肢として用意されているが(2024年12月現在)、これがゾンダーヴンシュを利用すれば自分だけのオリジナルカラー塗装も可能になる
- 塗装がポルシェの全ての生産&耐久性基準を満たすようにするのに6~9か月かかる
- 指定したカラーは1年間そのカラーをオーダーした顧客のみのための特別カラーとなり、その後Porsche Exclusive Manufakturのサンプル塗装パレットに追加、提供されるようになる
- 多くの顧客はゾンダーヴンシュをする前にManufakturのパーソナライゼーションサービスを10~20年利用してきた経験がある人達
- ポルシェはゾンダーヴンシュを「理性的な意思決定の及ばない製品」と言い、これらはもう自動車ビジネスではなく「愛のビジネス」であると言う
- ゾンダーヴンシュによるワンオフプロジェクトは、まず『会話』から始まる
- 続いてゾンダーヴンシュチームがプロジェクトのコンセプトフェーズに取り組めるように契約書にサインする
- 105,000ドル~370,000ドル(約1,658万円~5,840万円)を支払うと、そこで初めてポルシェの従業員パスが発行される
- 通常1年かかるこのフェーズでは車の正確な仕様、顧客の希望通りに製造できるか、公道走行が可能かどうかなどの決定がされる
- 次にゾンダーヴンシュチームが『Realizationフェーズ(実現フェーズ)』と呼ぶ実際の車の製造が行われ、ここには通常1~2年がかかる
- このフェーズで本格的な支払が発生する…それは7桁の金額と言われる→つまりは100万ドル(約1.57億円)~?!
- この過程ですべての顧客にはツッフェンハウゼンのゾンダーヴンシュ・コンサルタントとの専用窓口が与えられる
- プロジェクトチーム関係者全員と話す機会もある。チーム関係者は以下の人達など:
- Porsche Exclusive Manufaktur
- ポルシェクラシックの専門家
- スタイルポルシェデザイン部門
- ポルシェのエンジニアリングチーム
- 対面でもデジタルでも、相談や進捗会議ではスタイリングから技術的な問題に至るまで関係者全員が質問に答える
- 例えば顧客が新しいルーフやヘッドライトシステムを希望する場合、ゾンダーヴンシュチームはポルシェのヴァイザッハR&Dセンターの関連エンジニアに相談を手配したりする
- ポルシェの安全性と耐久性の基準を満たさないアイデアについては避けるように指導される
- すべての特注ボディはポルシェのデザインチーフであるMichael Mauer氏によりそのデザインを個人的に承認される必要がある
ゾンダーヴンシュ、ある程度の高額な費用は想像していましたが7桁ドルとは…!愛のビジネスって高い…(笑)
金銭的にも時間的にも心にも余裕がなければ、なかなかゾンダーヴンシュには行きつけなさそうです。
年末ジャンボが当たったとしても1回ではなくて2回くらい当ててからでないと私には手をあげる勇気が出ないかも…。いや、年末ジャンボに頼っている時点でもうゾンダーヴンシュから最も遠いところにいる人だな(笑)。
ちなみにゾンダーヴンシュチームは、こんなシャンパンクーラーのインストールなどまでも手がけてくれるようです(車はパナメーラ)↓
お気に入りのビンテージスパークリングワインを冷やすことが出来るクーラーユニットが後部座席の狭いスペースに収まるように特別設計、製造されただけでなくポルシェのデザイナーたちはクーラーユニットに収まる特注のポルシェシャンパンフルートグラスまでも作成されたのだとか。
他にもゾンダーヴンシュチームが手掛けたプロジェクトとしては、少し前に書かせて頂いた993型 ポルシェ911スピードスターを作ってしまったことも。
→ 参照記事:Sonderwunschプログラムにより作られた993型ポルシェ911スピードスター
他にも「新しいポルシェを昔のヒーローが運転していたレースカーに似せたい」と希望する人は、伝説のスイス人ドライバーであるJo Siffert氏が1969年にレースで使用した917と同じカラーリングの911 GT3 RSを作ってみたり。
現時点で予約が入っているものとしては、26人もの人がカレラGTのゾンダーブンシュ待ちで、918スパイダーもゾンダーブンシュに。
さらにはですよ…なんと現在ゾンダーブンシュのチームは顧客からの要望である「パナメーラコンバーチブルを制作してほしい」というものに積極的に取り組まれているのだとか。
近い将来、パナメーラコンバーチブルが出来上がったというニュースを聞ける日が来るかもしれません。もちろん、たった1人の為に作られるものですので量産されるわけではありませんが^^
ゾンダーブンシュ。夢のまた夢ではありますが、そもそもこういうプログラムが存在しなければ、自分だけのこだわりのポルシェを作りたいと夢を見てもかなえてもらえないわけですから、ゾンダーブンシュというプログラムが今またこうして現代に蘇り、個々の希望にポルシェが公式として対応してくれるようになったのは素晴らしいことだと思います。
出典:Sonderwunsch Is Porsche-Speak for "Where Dreams Come True"
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