売上高は減少も利益率は改善
2026年10月27日、ポルシェAGが2026年第3四半期決算(1月~9月)を発表。
ポルシェはこの9か月間、販売台数の拡大よりも収益性やブランド価値を重視する『Value over Volume (量より価値)』戦略を一貫して推進。
その結果、今回ポルシェは厳しい経済環境にも関わらず、第3四半期末の財務数値において前年同期比で営業利益、売上高営業利益率、自動車部門の純キャッシュフローを改善させることが出来たと発表されました。
グループの売上高は予想していた通り、252億8000万ユーロ(前年同期:268億6000万ユーロ)へと5.9%減少。
一方で納車台数は前年同期比16.0%減となっていて、この販売台数の減少に比べると売上高の落ち込みは小幅にとどまっているとのこと。
これは利益率の高いモデルの販売比率が上昇したことや、価格設定、販売モデル構成の変化などが業績を下支えしたためと説明されています。

ポルシェAGのCEOであるMichael Leiters氏は以下のようにコメント:
「ポルシェは戦略的な再編を着実に、かつ迅速に進めている。中核事業、競争力のあるコスト構造、そして持続的な収益性の向上に注力している。既に実施している施策により、ポルシェを長期的により強固で、より中核事業に集中した、より収益性の高い企業として位置づけるための基盤を築いている」
「Capital Markets Dayで発表した通り、『Sportwagenschmiede '35』戦略の一環としてポルシェをよりスリムで機敏な企業にしながら、感情に訴えかける新しい製品でポートフォリオを体系的に発展させていく。目標は明確で、資本集約度を下げつつ、収益性を高め、純キャッシュフローを強化すること。これにより持続的な財務実績の向上に向けた基盤を築いている」
営業利益率は6.9%に改善、再編費用の減少も影響
グループの売上高営業利益率は、最初の9か月間で6.9%へと大幅に改善(前年同期:0.2%)。
ただしこの改善には前年同期に計上された経営再編費用の影響も大きく関係しています。
2025年1月~9月には経営再編に伴う費用が27億ユーロ発生していたのに対し、2026年の同期間では約5億ユーロにとどまったとのことから、今回の売上高営業利益率の大幅な改善には前年同期に発生した多額の経営再編費用が減少したことも大きく影響していると説明されています。
また、自動車部門のEBITDAマージンは、前年同期の11.9%から17.3%へと上昇。
自動車部門の純キャッシュフローは一時的な要因により増加
自動車部門の純キャッシュフローは25億ユーロに増加(前年同期:13億4000万ユーロ)。
この増加は主にブガッティ・リマックおよびリマック・グループの株式売却によるキャッシュインフロー(現金収入)によるもの。
一方で、第3四半期には以下の一時的な支出が発生し、自動車部門の純キャッシュフローを押し下げる要因となったとのことです:
- 経営再編に関連する支出:1億~2億ユーロ
- 年金債務に対する追加資金拠出:2億5,000万ユーロ
- 米国の関税による負担:2億ユーロ
こうした支出がありつつも、株式売却による現金収入などによって、最初の9か月間の自動車部門の純キャッシュフローマージンは11.3%(前年同期:5.6%)となっています。

自動車部門の純流動性は、主に自動車部門の純キャッシュフローからの資金流入により、2025会計年度末と比較して2026年9月30日時点で8億8400万ユーロ増加し、82億3000万ユーロに。
世界納車台数は16%減、北米が最大市場を維持
顧客への納車台数は16.0%減の178,532台(前年同期:212,509台)。
北米は引き続き販売台数が最も多い地域で、納車台数は56,088台。
中国の市場環境は依然として厳しく、そのため同地域では引き続き「量より価値」戦略を堅持し、短期的な販売台数目標よりもブランドの長期的な発展を優先。
納車台数に占めるBEVの割合は21.7%(前年同期:23.1%)に減少。
ポルシェによると、前年同期のBEV比率が高かったのは、特に2025年にフル電動のマカンの販売が大幅に増加したことが要因と言われています。
厳しい市場環境が続く中、ポルシェは一貫して価値重視の販売管理戦略を追求し、供給と需要のバランスに注力しているとのことです。

MHPとリマック関連株式の売却で事業再編を推進
ポルシェは第3四半期にコアビジネスへの注力において大きな進展を遂げており、その一環として2026年8月にはポルシェの完全子会社である経営・ITコンサルティング会社MHPをタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)に売却する為の契約を締結。
ポルシェとTCSは、経営・ITコンサルティング会社であるMHPと、デジタルソリューションや人工知能(AI)の分野で戦略的な協業を計画しているとのこと。
その目的は、主要な事業分野におけるAIアプリケーションの開発、活用拡大、統合を加速することだそうです。
取引の完了はいくつかの完了条件を満たすことが前提となっていて、今後12か月以内に完了する見込みとされています。
こうした背景から売却対象となる資産と負債はIFRS 5(国際財務報告基準)に従い、2026年9月30日時点で売却目的で保有する資産・負債として会計上分類されているとのこと。
ポルシェのブガッティ・リマックおよびリマック・グループの株式の売却は9月に完了。
これにより5億9300万ユーロの利益が生じ、ポルシェAGグループの金融損益に大きな影響を与えたとのことです。
今回の株式売却によるポルシェAGグループへの現金流入額は合計9億8,400万ユーロとなり、その大部分は自動車部門の純キャッシュフローに含まれています。
2026年通期の業績予想を維持
厳しい経済環境と地政学的な不確実性が続く中、ポルシェAGは2026年通期の業績予想を据え置くと発表。
ポルシェはブガッティ・リマックおよびリマック・グループの株式売却によるキャッシュインフローと、年金債務に対する2億5,000万ユーロの追加資金拠出を考慮し、自動車部門の純キャッシュフローマージンは5.5~7.5%になると予想。
2026年通期の業績予想は以下の通りとなっています:
- グループ売上高:350億ユーロから360億ユーロの間となる見込み
- グループ売上高営業利益率:5.5~7.5%
- 自動車部門の純キャッシュフローマージン:5.5~7.5%
- 自動車事業のEBITDAマージン:15~17%
- 自動車部門の電気自動車(BEV)販売比率:24~26%
2025年と2026年の第3四半期累計業績比較
| ポルシェAG グループ | Q1-Q3 2025 | Q1-Q3 2026 |
| 売上高 | 268億6,000万ユーロ | 252億8,000万ユーロ |
| 営業利益 | 4,000万ユーロ | 17億4,000万ユーロ |
| 売上高営業利益率 | 0.2% | 6.9% |
| 車両デリバリー数 | 212,509台 | 178,532台 |
Legal notice
※ポルシェAGが本件の発表において掲載していたLegal noticeを以下に転載します:
This press release contains forward-looking statements and information on the currently expected business development of Dr. Ing. h.c. F. Porsche AG. These statements entail risks and uncertainties. They are based on assumptions about the development of the economic, political and legal environment in individual countries, economic regions and markets, and in particular for the automotive industry, which we have made on the basis of the information available to us and which we consider to be realistic at the time of publication. Should any of these or other risks materialise, or should the assumptions underlying these statements prove incorrect, actual results could differ materially from those expressed or implied by such statements. Forward-looking statements in this release are based solely on information as of the date hereof. We do not subsequently revise forward-looking statements. Such statements are valid as of the date of their publication and may become obsolete. This information does not constitute an offer to exchange or sell, nor an offer to exchange or buy any securities.
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