2025年4月にすでに生産拡大の中止は発表されていましたが、改めて先日ポルシェAG子会社であるCellforce Group GmbH(以下セルフォース)が計画していた高性能バッテリーの生産拡大は実施しないことになったということが発表されました。
セルフォースはもともと高性能バッテリーセルの生産および販売を目的として2021年にポルシェとCustomcells Holding GmbHの合弁で設立された会社です。

本来であれば高性能バッテリーの生産拡大をしていくはずだったセルフォースは、今後は独立した研究開発部門として開発を継続することになるとのこと(セルとシステムの開発)。
ポルシェとしては今後もバッテリーセルの研究開発には投資を継続するとしていて、2019年から着手している電動化路線は引き続き支援。
世界的にeモビリティの立ち上げに地域差が大きいこと…つまりは想定を下回る電動車の需要、そして米国と中国での販売台数が現在様々な理由により期待を下回っていることなどから、生産拡大には十分な収益性が見込めず経済的に成立しないと判断されたようです。
ただ2025年前半のポルシェにおける電動車率(ハイブリッド車含む)は欧州で約57%となっていて、これはIPOの欧州市場における目標を上回っており、また世界全体ではこの期間中にポルシェは約36%の電動化率を達成したということで、今後の電気自動車路線を堅持していることもアピールされています。
ロイター通信によると今回の決定により約300名いるセルフォースの従業員のうち約200名が削減される見通しであるとのことで、そのうち一部の社員はフォルクスワーゲングループのバッテリー部門である『PowerCo』への雇用機会が紹介されることになるようです。

あと、セルフォースのノウハウはV4Smart GmbH & Co. KGにも活用できるとのこと。
2025年3月にポルシェはVARTA AGグループから超高性能リチウムイオン電池事業を買収しており、このV4Smartの電池は既にポルシェ911 GTSモデルのブースターセルとして採用されています。
さらに今後も高性能ハイブリッドを搭載した911の派生モデルが出てくる予定。
ちなみにポルシェ・マカンEVは中国企業であるContemporary Amperex Technology Co., Limited(CAT)製のバッテリーを搭載していると言われていて、ポルシェは自社バッテリー製造の計画を断念したために今後もこういった外部サプライヤーに依存することになるのかと思われます。
出典:
◆(公式)Porsche focuses battery activities on cell and system development
◆Porsche scraps battery production plans at Cellforce unit
◆'Not Economically Viable': Porsche Cancels Plans For In-House Battery Production
◆(公式)Cellforce to set up production in proximity to Stuttgart-Zuffenhausen
◆Slow EV Demand Forces Porsche to Halt Plans for High-Performance Battery Production
◆保时捷纯电动Macan电池由宁德时代供货 续航近800km
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