ポルシェ911 カレラ (991.2)、ブレーキが抜けるという症状
2020年11月5日にポルシェのドライビングレッスンであるポルシェトラックエクスペリエンス(PTE)に参加させて頂いた際に、私の愛するポルシェ911(991.2)ベースモデルカレラが壊れてしまいました。
今回は何が起きたのかを書いておこうと思います。
まだPTEが始まってすぐのことでした。ブレーキを踏んだ時の感覚がなんだかいつもと違う気がしたので「あれ?何か違う」と思って、車をとめた時にブレーキをふんで再確認。
そうしたら、通常は「ここまでしかブレーキは踏み込めません」って思っている位置よりも、さらに奥深くまで「ふにゅ~」って踏めてしまうのです。
ブレーキが。底なしな感じ。
すぐにインストラクターさんに見て頂いて「これはおかしい」ということになり、ブレーキがダメそうということで、とりあえず他の参加者の方にご迷惑にならないように、車を移動。
移動はインストラクターさん、スタッフさんたちがすべてやって下さいました。手押しでの移動です。
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移動されたのは、広い富士スピードウェイの駐車場の中の、さらにすみっこの方。
な、なんて寂しすぎる図…。
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他の参加者様たちのお車がいる位置からすると、このあたりまで移動して頂き、ここでメカニックの方が来て下さるのを待ちました。
ごめんね~、カレラさん。なんだか寂しいね。
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ブレーキ液が漏れている…
何がどうなったのかまったくわからない私でも、改めて良く見てみると自分の車から何か液体が出ていることはわかりました。
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メカニックさんが到着です。
さっそく色々とチェックを始めて下さいました。
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液体が出ていて、あきらかにおかしいのは右フロント部分であったので、ささっと右フロントタイヤが取り外されました。
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この時点ではインストラクターさんたちも
「ブレーキキャリパーのエア抜きバルブが緩んだりしているだけだったら、ちゃんと締めたらまたすぐ直るので復活できるのでは」
とか(私があまり車に詳しくないのでちょっと違ったらごめんなさい、でもそのような感じのこと)、なにかしらの「メカニックさんがささっと直せることかも」という、すぐにまた車は正常に戻ってPTEに復帰できるかもという少しの期待がありました。
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この、ぽとぽとと出てきている液体は、ブレーキフルード。
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メカニックさんが確認をして、原因をつきとめて下さったのですが、その際にこのブレーキフルードがどんどん出たわけですが、それまでの間には、何の警告も出ていませんでした。
ブレーキの感覚が何かおかしい、とすぐ気づけたのは「いつもカレラを可愛がって乗られているからですね」と言って下さった方がいて、それは私にとってとっても嬉しいお言葉でした^^
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パーツが折れた
さて、そして問題の原因ですが、何が起きたのかというと、メカニックさんも「こんなの初めて見ました」と言われる、この部分↓
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ここからぽとっと液が漏れているのが見えるかと思いますが…
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ここの、ブレーキの線(ホース?)みたいのをブレーキキャリパーにつないでいる部分の、ブレーキキャリパーにささっている中の部分が「折れた」のだそう。
そう、折れたのは中の部分。
すみません、車のメカニカルなことにまったく詳しくないので、私の説明でわかるでしょうか(笑)。
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「この、中の部分のパーツがありえないことに折れてます」と丁寧に教えて下さいました。
なんだか私にはまったく理解できませんが、とにかく、見て下さったメカニックさんたちも、インストラクターさんたちも、ポルシェジャパンの方も「こんなことが起きたのは見たことがない」「初めてみた」と皆さまが言われていたので、たぶん結構なレアケースな壊れ方だったのだと思います。
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このあと、都内ポルシェセンターに運んで頂いて、そこで改めて見て頂いたうえでも、やはり「こんなの見たことない」と言われました…。
この部分(のキャリパー側の中の部品)↓
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こんなキャリパー内のパーツ部分が折れるというのは、まずあまり考えられないことのようで、ポルシェジャパンの方いわく、今回の件はドイツ本国までレポートがあげられるとのことでした。
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あとから、メカニックの方が見せて下さった「中で折れていたのはこの部分でした」と見せて下さったパーツ。
どうして折れちゃったの…。
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とにかく、たぶん私がPTEで最後に定常円旋回をした時にポキッと折れたのだと思います。
それで「あれ?ブレーキ変?」ってなって、そのあとすぐに駐車できたという流れでしたので、本当にあとから考えたら今回の出来事は色々と奇跡が重なっているなと思えることばかりで、結果としては良かったと思えています。
ブレーキが使えないので、積載車で運ぶにも実は結構大変そうでした。
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降ろす時なども何人かの方が来て下さって、車を手で止めながらの移動です 。
このあと、他のインストラクターさんたちも沢山来て頂いて、ヘルプして下さいました↓
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車内を見てみるとハンドルには「ブレーキふむな!」の文字が。可愛い^^
いや、可愛いとか言っていられないのか(笑)。
でも、なんだかもう自分の黒カレラさんに何が起きているのかまったくわからずで、なんというか、もう皆さまに完全におまかせモードでした。
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車内をのぞいてみると、原因究明の為に色々として頂いている時にもどんどんブレーキフルードが出て行ったことから、やっとのこと警告が出ていました。
出ていた警告は『ブレーキ液レベル 安全な場所に停車して下さい』。
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カレラには感謝しかありません
今回、とにかくこの場にいあわせた皆さまに言われたことが「本当に不幸中の幸いでしたね」ということでした。
これは本当に本当に本当にそう思えることで、この「パーツがポキッと折れた」のが、午後の富士スピードウェイ本コースのフリー走行中とかであったら、たぶんアドレナリン全開の私には、最初に少しずつ起こり始めたブレーキの変化に気づくことが出来ず、FSW第1コーナーにポルシェ911カレラのブレーキを完全に信じ切って、フルブレーキするつもりでつっこんでいって…
たぶん、今、この場に存在していなかったかと思います。
今日のブログは夫の代筆で「昨日、妻がPTEに参加した際に…」という暗い内容になっていたこと思います。って、不吉な!いや、でも十分にその可能性もあったお話かと。
そうでなくても、今回のPTEでもしCグループでなければ、最初からコーナリングだったり、ABSをきかせてのブレーキングのトレーニングから始まっていた可能性があり、そうなっていたら、その時にぽきっと折れていても、たぶん私、または黒カレラさん、または下手したら他の参加者の方やお車、インストラクターの方々にも何かしらのお怪我等をさせてしまっていたかもしれません。
今回、PTEのCグループで、ブレーキをほぼ使わない定常円旋回からのスタートとなっていたこともまた奇跡でした。
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なぜ、こんなブレーキキャリパー内のパーツが折れたのかはまったくわかりません。通常はこんなことが起きないと言われている部分のようです。
でも。
もし、この私の黒カレラのこの部分のパーツが、遅かれ早かれいつか壊れる運命であったというのなら…今回、この場所で、この時間に、このタイミングで壊れてくれたというのが、私にとって、本当に1番最適な、1番安全な時であったと思っています。
FSWまでの行き帰りの高速で起きても大変ですし、PTEの他のトレーニング中、または本コース走行中に起きても大変ですし、先日のポルシェラリーの最中に起きても大迷惑をおかけすることになったわけですし、通常の生活中でもいきなりこんなことになっても私1人ではどうして良いかわからなかったと思います。
でも、今回こうして
- 誰にも(ぶつけるとかそういう意味で)ご迷惑をかけなかった
- PTEプログラムでもすぐにブレーキ異常に気付ける時であった
- まわりにはポルシェに詳しい方々だらけ
- ポルシェのメカニックさんたちまでいて、すぐに原因究明、最善の対策をして頂けた
- 積載車などもすぐ手配して頂けた(FSW→都内は自分での手配ですがFSW内でのこと)
という、もう本当に「これ以上条件がそろった『今こそ、壊れるべきタイミング』」はなかったのではないかと思います。
私の大好きな大好きな大好きな黒カレラさんが壊れてしまったことは、本当につらくて、本当に悲しすぎることなのですが、それでも、今回は黒カレラが私にとって1番良い時を選んで、1番安全な時を選んで壊れてくれたのだと思っています。
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メカニックさんがささっと原因究明して下さって、ささっと積載車でパドックまで移動させて下さって、さらにはブレーキフルードがついたままだと塗装にダメージがあるのでと言って、すぐに綺麗に流して洗って下さったり…こんなにも「今が壊れるベストタイミングです」という時はなかったと思います。
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PTEの運営の方、インストラクター様、メカニック様、参加者の皆さまにはご迷惑をおかけしてしまい申し訳ないかぎりですが、それでも、万が一本コースでこの故障が起きていて、何かもっとひどいことが起きていたとしたら、きっと今後の日本でのPTE存続でさえも怪しくなっていたかもしれません。
そう思うと、PTEを中止させてしまったり、今後のポルシェへのご迷惑をおかけするような事態にならなかっただけでも本当に良かったと思いました。
死んでしまうとしても、ただ死んでしまうのではなく、その後、自分のせいでPTEがしばらく開催中止になってしまったとか、そんなことになってしまったら、たぶん化けてでます…じゃなくて、なんだっけ、あ、死んでも死にきれません。
PTE会場をあとにして、そのまま黒カレラさんが運ばれた都内ポルシェセンターに向かいました。
そこには、黒カレラの姿が。こんな純粋な目で、悲しそうに入庫されているカレラさんを見たら泣けてくる…。
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悲しい…
アドバイザーさんと色々お話させて頂いて、ちゃんと修理すればまったく問題なく直るということもわかって、それは一安心でした。
折れてしまった原因がわからないので、やっぱり怖いということから、今回、壊れた右フロント部分だけではなく、4輪全てのパーツを交換して頂くことにしました。
でも。
今回、このことが起きて、家に帰ってきた夜。
時間もたって、私も色々と落ち着いて考えられるようになったわけですが、そうなると、なんだかとってもつらくて、つらくて、つらくてしかたなくなりました。
何がつらかったかって、それは。私にとって初めての
「ポルシェに乗るのが怖い」
と思ってしまったこと。
私のなかではありえないことでした。100%以上にポルシェ911、特に自分の黒カレラのことは信用していて、過信するのはよくないとはわかりつつも、私の黒カレラに対する信頼度合い、信用は100%以上で、もう黒カレラとは何でも出来るという気持ちでいました。
それが、こうやっていきなり予期せぬ故障があるということ、そして、その予期せぬ故障が、起きた場所とタイミングによっては大惨事になりかねないこと…そう思うと「また次も起きるかもしれない」って思ってしまって、ポルシェに乗ることが怖いと思ってしまったのです。
それが自分の中で1番つらくて、悲しかった。
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この日の夜1人になって(ちょうど夫に用事があり出かけてしまったので)、黒カレラさんが壊れてしまったという事実についても、より現実味をおびて自分の中に響いてきて、それもまた悲しくて、悲しくて、本当につらかったです。
今は「絶対にもう大丈夫。カレラがRikaちゃんを守ってくれたんだよ」と言って頂けて、また黒カレラさんが私の元に戻ってきてくれる日を楽しみに待てるようになりました。
まったく以前と気持ちが変わらないのかと言われると、そんなことはないと思います。でも、今はまた黒カレラさんが戻ってきてくれる日を楽しみに待ちたいと思います。
いつ、何が起きても良いように身辺整理しておこうと思いました(笑)←違う!
今回、助けて頂いたPTEのメカニック様、そしてPTEにいらっしゃったポルシェセンターのメカニック様、インストラクターの皆さま、本当にありがとうございました。
そして、現在黒カレラさんが入庫しているポルシェセンターの皆さま、よろしくお願い致します&ありがとうございます。
またポルシェ911カレラと楽しく、怖いという思いをなくして走ることが出来ますように。
続き(その後):最愛の黒カレラさん復活