オーストラリアでポルシェ911が販売され始めてから55年
今回、ポルシェセンター・メルボルンとポルシェセンター・シドニーサウスが共同で2台のポルシェ911スペシャルエディションを作成。
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そのスペシャルな2台は、1965年に初めてオーストラリアにて販売されたという最初のポルシェ911と並んで、これから数か月に渡り公開されるそうです。お、大きさが全然違う…^^↓
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ここで何が私の目をひいたかというと、ポルシェセンター・メルボルンのセールスマネージャーが「1965年に(オーストラリアで)販売開始されたポルシェ911をreimagineしようというのがこのプロジェクトのアイデア」と言われた時の『reimagine』という言葉。
ポルシェをリ・イマジンするというのは、そう、Singerが使われる言い回しであり、ここでポルシェセンターの方がリイマジンするという言い方をされていたので、ちょっと驚いて思わず記事を見てしまいました。
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どういった背景から、今回の2台のスペシャルエディションのポルシェ911が作られたのかをまずは見てみたいと思います。
ちなみに、2台作ったと書かれていたので、最初は何か違う2台のモデルを作られたのかと思ったのですが、どうやらReimagineした新たなポルシェ992を、PCメルボルンとPCシドニーサウスのそれぞれに1台ずつ用意できるよう、同じものを2台作ったということのようです(今後、それぞれのPCから1台ずつ販売されるみたい)。
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オーストラリア初のポルシェ911
さてさて、まずはオーストラリアで初めて販売されたというポルシェ911について。
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そのポルシェ911は、その時代のポルシェ販売代理店であったNorman Hamilton (ノーマン・ハミルトン)によって、1964年にアデレード(Adelaide)という地域の農家であるRon Angus氏に販売されたそう。
※オーストラリアでのポルシェ911販売は1965年からと書かれていながら、最初のポルシェが売られたのが1964年と書かれているのは謎(笑)?モデルイヤーが1965だったということ?なの?
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こちらのポルシェ911、その時代(1964年)で2,000オーストラリアポンドだったとのことで、この6気筒の911を注文する時の注文書には『901』の表記。
ボディカラーはストーングレー。アデレードから約100キロ北にあるBarossa Valleyにあるアンガス氏の農場へと納車されたわけですが、納車された際には、プジョーとのポルシェ901におけるモデル名のやりとりがあったあとだったことから、ポルシェの名称はすでに『911』になっていたとか。
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でも、そんなことは初代オーナーであるアンガスさんは何も気にしていなかったそうです。だって、アンガス家が独自で作ってポルシェにつけていたという白黒のナンバープレートのナンバーは「119」。
え、そんなにテキトウだったの?…って思っちゃいそうですが、これ、実はなかなか考えられていて、前の車がバックミラーでアンガスさんのポルシェを見た時に『911』となるようにしていたようです。可愛いこだわり^^
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アンガス氏は自分の領地内でポルシェ911でのヒルクライムを定期的に楽しんでいたそう。
彼が1969年にこのポルシェ911を友人の建築家であるRoy Wilson氏に売却した時点で、ポルシェ911の走行距離は87,000キロ。
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そして、現在のオーナーはポルシェ愛好家であるStewart Kay氏とのことで、彼がこの車に最初に出会ったのは、1980年代後半に2代目オーナーのウィルソン氏に、大学の論文の関係でインタビューしにいった時のことだったそうです。
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その時、ウィルソン氏のガレージにひっそりととまっていたポルシェ911を見たKay氏は、その911が「以前、雑誌でみた最も古い911としてポルシェミュージアムに飾られているというのと、あれもしかしたら同じじゃないの?!」ということに気づいた、と。
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その後、Kay氏はまた記事を確認したそうで、さらに驚いたのが雑誌で紹介されていたポルシェミュージアムに飾られているという911のシャシーナンバーは302 503であり、それはウィルソン氏のガレージで見た911よりも、1,000番あとのナンバーだったと。
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ポルシェカーズ・オーストラリアを通して工場に確認してもらったところ、このウィルソン氏のもとにあった911は、ポルシェ911において『初めて作られた右ハンドルの車』の1つであったことがわかったそうです。
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そこからKay氏はウィルソン氏にポルシェ911を売って欲しいと懇願したそうなのですが、そんなに簡単には売ってもらえず。
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結局のところ、それから何年かがたった1992年に「まだ欲しい?」とかかってきた1本の電話によって、交渉が再開。
電話をもらった時、嬉しかっただろうな~^^
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その後、Kay氏がオリジナルの鍵、オリジナルのオーナーズマニュアル、サービスブックと共に、このポルシェ911の3番目のオーナーになったのでした。
この時点で、ポルシェ911の走行距離は136,000キロ。
Kay氏は現在でもほぼオリジナルの状態でこのポルシェ911を所有中。大事にされているのでしょうね~。
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現在では、普段は南オーストラリアにあるThe Bend Motorsport Parkという博物館に保管されているそうですが、今後しばらくの間は、今回「Reimagined」された、このKay氏のポルシェ911へのオマージュとしてつくられた新型ポルシェ911(992)と共に、ポルシェセンターメルボルンと、ポルシェセンターシドニーサウスに展示されるとのこと。
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新しくリイマジンされた新型ポルシェ911(992) カレラS
今回紹介されている、オーストラリアで最初のポルシェ911へのオマージュとして新たにつくられた新型ポルシェ911 (992)には、55年前に納車されたアンガス氏のオリジナルポルシェ911を、現代のポルシェ911でいくつかの特徴を複製するという試みであり、それが出来てしまうのが、いかに『ポルシェ911がタイムレスなマシンであるか』を象徴している、とポルシェセンターシドニーサウスのゼネラルマネージャーLee Hallett氏。
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また、今回のリイマジンされたポルシェ911は、最高品質の素材を使い、また最新の製造方法を組み合わせ、細部にまでこだわるPorsche Exclusive Manufakturの無限の可能性も示している、と。
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アンガス氏のポルシェは5速マニュアル、今回の2020年のポルシェ911は8速マニュアル。
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アンガス氏のポルシェはストーングレーでしたが、2020年のポルシェ911はクレヨン。こちらはリアスラットも同じくクレヨンにカラーリングされています。
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20/21インチのカレラ・エクスクルーシブデザイン・ホイールに、黒のキャリパー。
スポーツデザインのサイドスカートに、ペイントされたサイドミラー、ハイグロストリムストライプ。
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ポルシェ911の初期モデルの内装はグリーンのレザーに、メープルイエローのダッシュボードウッドトリム、ステアリングがマッチしていたそう。
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今回はそれをReimagineして、2020年のポルシェ992の内装はアガベグリーンのクラブレザーに、クレヨンのステッチ、そしてシートベルトもアガベグリーンに。
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オリジナルとは違い、シートは14ウェイのメモリーパッケージ付き電動スポーツシートに、ヘッドレストにはポルシェクレストのエンボス。また、Paldao Darkの内装パッケージが装備されているとのこと。
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そして、ドアシルには『1965 Reimagined』と書かれています。
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オーストラリアのみでの展示となりますが、オーストラリアでの初代911と最新の911…しかもそれが、初代911へのオマージュとしてreimagineされたポルシェで、その2台が並んで展示されるだなんてなかなか素敵ですね^^
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で。
ポルシェが「ポルシェをReimaginedした」っていう言い回しを使って(ドアシルにまで書いちゃって!)、シンガーは「え?」って思わないのかな。
…というのが私の疑問(笑)。
それとも「お、ついにポルシェもreimagineするという意味をわかってくれたのね?ポルシェがSingerに追いついたのね?」って、喜ばれているのかな^^?
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1965 Reimagined with Porsche Exclusive Manufaktur - Australia’s first 911, 55 years on
こちらが、今回紹介されている2台のポルシェ911の紹介動画(公式)となります↓
出典:(公式) Australia’s first 911 reimagined by Porsche Exclusive Manufaktur