内燃機関と合成燃料、そしてポルシェの電気化戦略
こちらは2022年7月3日にドイツの新聞『Bild am Sonntag』に掲載された、ポルシェCEOのオリバーブルーメ氏へのインタビュー記事となります。
燃焼エンジンの未来について
- Eモビリティはポルシェにとって最優先事項。それと同時に最新の燃焼エンジンも作り続けている。
- 911モデルは現在、今まで以上に人気がある。
- 近い将来、ポルシェはとてもスポーティーなハイブリッドの911を出す。
- 気候保護へ向けては好調。ドイツ政府によるテクノロジーへのオープンなアプローチ、そして解決策の1つとして合成燃料を取り入れるという妥協案を支持する。
- テクノロジーを禁止することはイノベーションをストップさせてしまう。ポルシェは2つの「e」の道に取り組む。それが『eモビリティ』と『eFuels (合成燃料)』。
2030年には新規に納車されるポルシェの80%以上が電気自動車になる予定
- 従来の自動車メーカーのなかでも、ポルシェはとても積極的な電気化戦略を持つ。
- 目標は2030年にはポルシェの新規販売車の80%以上がフル電気自動車となること。
- ポルシェ初のフル電気自動車であるタイカンはすでに大成功を収めている。
- (タイカンは)昨年、とても好調であったさらに前年と比べても倍となる41,000台以上を販売した。
- これによりタイカンはポルシェのアイコンである911と並び、私たちは自分たちをサステナブルモビリティのパイオニアだと思っている。
合成燃料がすべての「普通」と「古い」車たちを綺麗にする理由
- 気候保護は全体的にみていく必要があり、だからこそテクノロジーの面においてオープンである必要がある。
- 電気自動車の存在は非常に重要であると同時に、すでに世界中に存在している10億台以上の既存の車たちもまだ今後数十年に渡り走ることになる。
- 合成燃料は、そういった既存の車のパワートレインの種類に関係なくCO₂を軽減させることが可能。
- 燃焼エンジンは合成燃料により、事実上カーボンニュートラルに動かすことが出来る。何かを変更したり、改造する必要もない。
- 合成燃料はガソリンスタンドで混合燃料として、もしくはそれ単体での提供が可能。
- 既存の車両オーナーたちにも、こうして選択肢を提供する必要がある。
合成燃料はいくらになる?
- 合成燃料の価格は今後の合成燃料の生産レベルによる。
- 工業規模で生産がされるようになれば、1リットルあたり2ドル以下の価格提供が可能になると思われる。
- 重要なことは、合成燃料が再生可能エネルギーが豊富にある場所で持続可能な方法で生産されること。
- 空気から抽出された二酸化炭素と水から生成される、車や飛行機また船舶用の合成燃料(eFuels)は、水素よりも輸送が簡単であるという利点もある。
以上が、インタビュー内容となります。
eFuelsが将来的に普通に今のガソリンと同じような価格帯で提供されることになれば、また車の在り方(規制含め)についての議論も変わってくるかもしれませんが、そこまでもっていくのはなかなか大変なこと。
この問題解決(内燃エンジンを存続させる)に向けポルシェが今頑張ってくれていることが、将来的に多くの方がまだまだ素敵なポルシェたちをいっぱい楽しく走らせることが出来ることにつながることを祈ります。
でも、それとは別にハイブリッドの911にもめちゃめちゃ興味が出てきている移り気な私です^^
出典:(公式) “Porsche is committed to a double-e path: e-mobility and e-fuels”
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