ポルシェのクレストとはポルシェのマークのこと
1948年6月8日にポルシェ最初の車である『ポルシェ 356 ロードスター』のシャシー番号「356-001」が登録されたのが、今日、2020年6月8日から72年前の1948年6月8日のこと。
そんなポルシェにとっての記念日でもある6月8日の今日は、ポルシェのクレストの歴史と由来について見てみたいと思います。
ちょうど、数日前にポルシェがその由来をまた改めて書いていてくれたので^^!
まず、ポルシェにそんなに興味がない方からすると「ポルシェのクレスト」と言われても、何がいったい「クレスト」なのかわからないかもしれません。
クレスト(Crest)という単語から、なんとなく「これのことでは?」とは思われるかもですが、それでも、たぶん…例えば3年前の私では自信をもって「ポルシェのクレストはこれ!」と言えなかったかと思います。う。どれだけポルシェのこと知らない人だったの…(笑)。
クレストというのはいわゆる『紋章』であり、1度はどこかで見たことがあるのではないかと思われる、こちらのポルシェのマークのことを指します↓
では、ここからは2020年6月6日にポルシェがアップしてくれたポルシェクレストについての内容や、その他ポルシェ公式サイト等から、その由来を見ていきたいと思います。出典はページ最後に。
※ポルシェクレストの始まり等にはいくつかの説が語られることがあるようですが、今回ここで書くのはポルシェAG公式サイトが出された記事に書かれていた内容で書いています。
オリジナルのポルシェクレスト
オリジナルのポルシェクレストでは、ポルシェ(PORSCHE)という文字のロゴはゴールドのベースカラーに、ワイドな文字を使用。
この写真(少し新しい1994年くらいからのクレスト)にある「PORSCHEと黒文字で描かれている部分」が、最初のオリジナルのクレストでは色がついていなくて、ゴールドでした↓
シュトゥットガルト(Stuttgart)の文字は凹んだ背景にエンボス加工されています。高くあげられた肩関節(前足)と、なびく尻尾を持つ馬(Stuttgart Rössle)はとてもパワフル。
もともとの最初に出来たポルシェのクレストは、強い赤オレンジの色が特徴であり、そのクレストの歴史は初代ポルシェ911(1964~1973年)にまでさかのぼります。
ポルシェのロゴ(PORSCHEという文字のロゴ)は、1948年の時点ですでにポルシェブランドの車両に最初からつけられていたそうですが、ポルシェの紋章であるクレストは、実は1952年になるまで作られていなかったそうです。
知らなかった~!
ポルシェは1951年3月に自社のロゴを作る為、ドイツの芸術学校に対し合計1,000ドイツマルクをオファーしてコンペティションを実施。(※その時代のレートで換算しても1,000ドイツマルクってそんなに高額ではない気がするのですが、私のレート換算が間違ってるのかな…。)
でも、どのデザインも経営陣にとって納得のできるものではなかったそう。
1951年の終わり頃、フェリーポルシェがNYを訪れた際にアメリカの輸入業者であるマックスホフマンから、ポルシェのロゴが欲しいと言われ、その結果としてまたロゴの作成がポルシェ社内でスタート。
1952年の初めに、Franz Xaver Reimspieß氏がポルシェのクレストを作成。この彼、1936年にフォルクスワーゲンのロゴを作った方でもあるそうです。
凄い、フォルクスワーゲンのロゴと、ポルシェクレストをデザインした人って同じ人だったのですね。
彼が作成したポルシェクレストは、ポルシェという会社のルーツを象徴しているのと同時に、その製品の品質とダイナミクスを表していて、かつ、金色の盾の中央にいる馬はシュトゥットガルトの街の紋章からとられたもの。
上部に描かれたシュトゥットガルトの名前の文字は、ポルシェが自社がある街にコミットしていることを示し、その周りにある赤と黒の色は、それぞれヴュルテンベルク=ホーエンツォレルン州(Württemberg-Hohenzollern)の伝統的な紋章からとられたものだそうです。
マツゲのようにみえるデザインは、antler (雄ジカの枝角)。
そしてこのすべてのデザインの上部に、アーチを描くようにPORSCHEというロゴが描かれ、すべてのデザインをプロテクトしているとのこと。うーん、なんともそれって、カッコイイじゃないですか^^
ポルシェのクレストは1952年の終わりにドイツの特許庁に登録されたのち、ポルシェのホーンボタン(ステアリングの中央)に登場。
その後、1954年11月にはポルシェ356スピードスターの特徴的なボンネットにもつけられ、1959年には、ポルシェ・スポーツカーのホイールのセンターキャップにもつけられるように。
それ以来、ポルシェはそのポルシェの品質を証明するポルシェクレストをすべてのポルシェモデルのボンネットにつけるようになったそうです。
ちなみにこちらのポルシェクレストは、著作権で保護されており、世界で最も有名な商標の1つ。ポルシェ本社の許可がない限り、商業的に使用することは出来ないものです。
日本でもグッズなどをご自身で作られる方もいらっしゃるかと思いますが、ポルシェクレストの使用はポルシェ本社からの許可が必要であり、許可を取っていない場合は著作権侵害にあたることになる可能性がありますのでご注意下さい^^
ポルシェのクラシッククレスト
オリジナルのポルシェクレストは、ポルシェクラシックから幅広い歴史的モデルに対応していて、オリジナルの図面に従い、特別なツールを使って作られるそう。
昔の時代のように、オリジナルのポルシェクレストは金メッキされており、その色付けとエナメル塗装はすべて手作業。
歴代のポルシェクレスト
今日のポルシェクレストとは異なり、クラシカルなポルシェロゴには、PORSCHEの文字とStuttugartの文字には黒色は使われずエンボス加工されているのみ。
さらにはクレストの赤色の部分は、昔はもっとオレンジ色に近くヴュルテンベルク-ホーエンツォレルンの州の印の色と同じ。
実際、クラシックポルシェのクレストを見ると、現在のクレストの赤色よりもオレンジがかっていることが、見てわかりますね。
月日を経て、ポルシェクレストは少しずつデザインが変わってきています。
現在、ポルシェクラシックで利用できるクレストは以下のように区別されていました(ポルシェジャパンサイトより):
モデル 356、911F、911G
製品番号:64455921002
モデル: 356 (1954~1965年)
製品番号:90155921027
モデル: 911F (1965~1973年)、911G (1974年)
この時代のポルシェクレストは、典型的なレッドオレンジ色にあり、ベースカラーのゴールドによるポルシェロゴには、太い文字が使用されていました。Stuttugartの文字もエンボスされています。
モデル 911G、924、928、944、959、964、968
製品番号:90155921026
モデル: 911G(1974~1989年)、924 (1976~1988年)、928 (1978~1995年)、944 (1982~1991年)、959 (1987~1988年)、964 (1989~1994年)、968 (1992~1995年)
この時代もポルシェの文字部分は金色。Stuttugartもエンボスです。ポルシェクレストの色が、赤く透き通ったようなものになっています。
モデル 993、986、996
部品番号:99655921101
モデル: 993 (1994~1998年)、986 (1997~2004年)、996 (1998~2005年)、その他後年モデルシリーズにも使用可能
この時代からポルシェの文字が黒色で細めに。Stuttugartはエンボス加工。赤色も透き通ったものとなっています。
ポルシェロゴは素敵
ポルシェのマーク、ロゴ、バッジである「ポルシェクレスト」と呼ばれるこの紋章。とっても素敵だと思っています。
シンプルな企業ロゴなどもカッコイイと思うことも多々あるのですが、ポルシェのこの簡単に手書きできないくらいの素敵な、いかにも「王国の紋章」みたいな感じなのが好きです。ん?厨二病?
これからも日々このクレストを眺めながら、ポルシェ911に乗らせてもらう生活をしていきたいと思います。
ポルシェ72周年
ポルシェ70周年を祝ったのがもう2年前だなんていうことが、現実の時の流れるはやさとしては恐ろしいのですが(笑)、とにかく、2020年6月8日の今日。
ポルシェ、72周年おめでとうございます。
ポルシェという車に出会えて本当に幸せです。ポルシェ911で走っていると、楽しいことがあった時にはさらに楽しい気持ちにさせてくれて、そして、たまになにかあって忘れたいことがある時には、忘れることも助けてくれる、そんな存在です。
最後にこちらが、ポルシェクレストの製造工程の動画。こういうの感動する…かっこ良すぎる…!
そうそう、言うまでもなく?こちらのポルシェクレストたちはすべて「100%ドイツ製」とのこと^^
最後にやっぱり一言。
ポルシェ911、大好きです。
出典:
◆(公式)How the Porsche Crest was created
◆(公式)お客様のクラシックカーに合ったポルシェクレスト
◆(公式)Our top horse in the stable
◆The History of the Porsche Crest