次期電気自動車の為のバッテリーセル製造工場
ドイツの新聞のFrankfurter Allgemiene Sonntagszeitungに対してポルシェAGのCEOであるオリバーブルーメ氏が語られたことによると、ポルシェは今後バッテリーセルを作る為の工場をドイツはテュービンゲン (Tuebingen)に建設するとのことです。
ブルーメ氏いわく「バッテリーセルは、これからのドイツの自動車産業にとってキーとなる重要なテクノロジーであり、その為の工場を自国にも持つ必要がある」とのこと。
ポルシェのバッテリーセル開発への本気度合いが見えますね。
そもそも、ポルシェに限らず、ヨーロッパが本拠地である自動車メーカーたちは、電気自動車の生産を増やすにつれ、アジアのメーカーへの依存を減らすことを目指しているそうです。
今回のこのバッテリーセル製造工場計画からすると、今後のポルシェはVWグループからEVバッテリーを購入するだけではなく、ポルシェ専用に独自に開発した高性能バッテリーセルを作るものとみられています。
ポルシェはポルシェのバッテリーでEV車の最先端を目指す
ブルーメ氏は「ポルシェが高性能な内燃エンジンを開発したのと同じように、これからのポルシェは高性能バッテリーにおける最前線に立ちたいと思っている」と語られました。
確かに、今までのポルシェは自社で素晴らしいエンジンの開発をされ、そのエンジンを搭載した「ポルシェ」という車を作られてきたわけで、アジアのメーカーが作ったエンジンでポルシェを作られてきたわけではありません。
そう考えると、これからの未来の自動車産業で中心となっていくのは(一応、今のところ)電気自動車だという未来になるのであれば、そうなった時に「他のメーカーのバッテリーでポルシェを作っているんだよね~」というのは、ポルシェにとっては許しがたいことなのかもしれません。
いや、っていうか「そう、それはダメでしょ!」ってなっちゃうのには、とても共感します。
ポルシェとしては、高性能バッテリーを自社で作り、それを持ってこその「ポルシェのEV」としてトップに立ちたいという目標には納得しかないかな^^
バッテリーセル陽極にはシリコン
2021年3月にポルシェは、自社のバッテリーセルの陽極にはグラファイトではなくシリコンを利用するということを伝えられていました。これにより、バッテリーをより高い温度でも作動させることが可能になるとのこと。
※通常のバッテリーセルはだいたい25℃で最も良い感じに動作し、46℃を越えるとその動作はダメになっていくそうなのですが、ポルシェが言うシリコン利用になると、その良い感じで動作する温度が75℃を越えるくらいにもなるそう。
さらにはこのシリコン利用のバッテリーセルにすることで、エネルギー密度を高め、充電時間を短縮することが可能になるということです。
EV自動車に対してはバッテリーセルの自社開発、それと同時に合成燃料の開発も…今は新たに莫大な投資費用が必要になっている大変な時を迎えているわけですが、今後のポルシェの、そして自動車産業の未来に向けて、ポルシェに期待しています^^
出典:
◆ Porsche To Establish Battery Cell Plant In Germany
◆ Porsche plans EV battery cell factory in Germany
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