2020年度 ポルシェ年次報告
2021年3月19日(金)にポルシェのアニュアルカンファレンスが、オンラインでのライブ中継にて開催されました。
毎年、この時期の金曜日に開催されているアニュアルカンファレンス。
私がポルシェのことを大好きになって、このアニュアルカンファレンスにも興味を持って見るようになってからすでに3回目。
本当に1年があっという間です。
関連記事:
◆2018年のポルシェまとめ:アニュアルレポート2019
◆2019年のポルシェまとめ:アニュアルレポート2020
では、2020年のポルシェのまとめを見ていきたいと思います(内容はアニュアルカンファレンスより)。
ポルシェの2020会計年度の売上高は過去最高
- 2020年度のポルシェAGの売上高は287億ユーロ (前年度は285億ユーロ)
- 営業利益は42億ユーロ (前年度が39億ユーロ/特別損益前だと44億ユーロ)
- 営業利益率は14.6%
- デリバリー台数はワールドワイドで272,000台以上 (前年度より3%減)
- 税引前利益は44億ユーロで、前年度より増加
ポルシェAG取締役会会長 オリバー・ブルーメ氏の発表
- 2020年は大変な状況であったにも関わらず、ポルシェにとっては良い年となった。その理由は以下の4つ:
- 魅力的なプロダクトたち (attractive product range)
- 良く出来た電動モデルたち (convincing electric models)
- ポルシェブランドの革新的な強さ (brand’s innovative strength)
- 危機管理の取り組みへの決意 (the determination with which we approached our crisis management)
- ポルシェ初のフル電動スポーツカーのタイカンは20,000台以上が販売され、タイカンは電動スポーツカーの同クラスで最も成功している車となっている
- タイカンは『世界で最も革新的な車 (world’s most innovative car)』に選ばれた他、世界中で50以上の数々の賞を受賞
- ポルシェは強く安定したコアビジネス、サステナブル・アクション、社会的責任、そして革新的テクノロジーを象徴している
ポルシェAG財務/IT 取締役会副会長 ルッツ・メシュケ氏の発表
- 数々の困難があったにも関わらず、戦略目標範囲内である14.6%の営業利益率を達成できた業績を誇りに思う
- 世界的に困難な状況でこうした記録達成を可能にしたのは、とても迅速に確立されたコスト・流動性管理システム
- 今回の危機的状況下でポルシェの最優先事項は流動性であった
- 全ての「絶対に必要ではないコスト」を削減する必要があった
- ポルシェはいかなる時も、長期戦略の方向性を見失うことはなかった
- そして将来のことについては、一切切り詰めることはなかった
- ポルシェは常にフルスピードで変革、デジタライゼーション、そして電動化を推進していく。これらの分野で力を抜くとすぐに競争力を失う
- コストと流動性管理システムはベンチマークを提供。ポルシェはポルシェの事業を守ったことにより、現在の危機的状況が終われば、また全速力で前進することが出来る
収益性プログラム
- 上記のようなことを念頭に置き、ポルシェは野心的な収益性プログラム2025 (Profitability Programme 2025)にさらに磨きをかけた
- ポルシェの新たな目標は、2025年までに業績を累計で100億ユーロ、そしてそれ以降は毎年30億ユーロずつとすること
- 収益性プログラムで最も重要なことは、これがただのコスト削減の節約プログラムではなく、革新あるプログラムであるということであり、全てのプロセスをインテリジェントに最適化し、新しいビジネスアイデアを出していくことである
- 従業員数は約36,000人で一定に保っており、核となる人員の雇用を2030年まで保証する雇用保障協定を締結した
- ポルシェは雇用を削減したり、子会社を切り捨てたりはせず、逆に従業員と未来に投資している
- このことは成果をあげており、ポルシェは効率性をさらに高め、損益分岐点を下げることが出来た
- これにより2021年にも営業利益率15%という戦略目標を達成したいと考えている
- ポルシェは前年度同様、得たものは従業員たちとシェアしており、2020年度のそのボーナスは7,850ユーロであった
2030年にCO2ニュートラルの達成を目指す
- 継続的な気候変動に直面し、ポルシェはもう1つの野心的な目標を設定した
- ポルシェの『ストラテジー2030』においてとても重要なことは、経済的、生態学的、そして社会的なサステナビリティ
- ポルシェは2030年までにバリューチェーン全体を通じてカーボンニュートラルを実現したいという明確なターゲットを念頭に、包括的な脱炭素化プログラムを開始した
- すでに2021年から、主要拠点であるツッフェンハウゼン、ヴァイザッハ、ライプツィヒなどではカーボンニュートラルになっている
- 今後10年間で、脱炭素化のために10億ユーロ以上を割り当てた
- すでにポルシェはこの最初の節目に来ており、それが2021年3月に発表されたタイカン・クロスツーリスモ。このモデルはすべての生産フェーズを通してカーボンニュートラルとなる初の車である
- 2020年にヨーロッパで販売されたポルシェの1/3が電気自動車であった(フル電動&ハイブリッド)
- 全世界での電動化率は17%
- 2025年には、新たに販売されるポルシェの全体数のうち半数に電気モーターが搭載され、2030年には新車の80%以上が電動化される
- ポルシェにとって、社会的責任のある行動もサステナブルな管理の下で実施される
- 『ポルシェヘルプ (Porsche helps)』というプログラムをパンデミックの最中にスタートさせ、数えきれないほどの従業員が自らの時間やお金を慈善事業に捧げた
- ポルシェはパンデミックの影響を軽減するために、フードバンクへの寄付額を500万ユーロ増やし、その寄付金額を倍増させた
堅調な販売実績
- 販売台数に関しては、ポルシェの世界的な地位から恩恵を受け、顧客にデリバリーされた台数は概ね安定していた
- 最も売れたのがカイエンで、前年比1%増の92,860台を販売
- タイカンは20,015台が販売された(2020年)
- 中国は最大の単一市場であり続けており、中国では前年度比3%増の88,968台を販売
- アジアパシフィック、中東、そしてアフリカも全体的にプラス成長を続け、前年同期比4%増の121,641台を販売
- ヨーロッパでは80,892台、アメリカでは69,629台を販売
数字で見る過去3年間のポルシェ
最後に、こちらが現在のポルシェAGのExecutive Boardメンバー(取締役員)の皆さまなわけですが、なんだかもう、こう絵になりますよね^^
以上、2021年ポルシェ・アニュアルプレスカンファレンスからでした~。
出典(すべて公式):
◆Porsche achieves sustainable growth in 2020 financial year
◆Annual & Sustainability Report 2020
◆ポルシェは2020年度に持続的成長を達成