2022年3月1日9:00am頃 Felicity Ace沈没
2022年2月16日に出火してから、(困難であった為に)消火活動がほぼされることなく、約1週間の間大西洋を漂流していたポルシェたちを積んでいた商船三井の自動車運搬船『フェリシティエース (Felicity Ace)』。
これまでの経緯詳細はこちら→ポルシェを載せた船の火災
現時点でわかっていることは、この船には3,965台のフォルクスワーゲングループの車たちが搭載されており、その内訳は以下の通りと言われています:
- ポルシェ (1,100台)
- ベントレー (189台)
- フォルクスワーゲン(約500台)
- アウディ(約1,900台)
- ランボルギーニ(約85台)
先週あたりからはついに船が動かせる(=曳航できるようになったということ)というニュースも入ってきたところでした。
しかしながら、曳航され安全な場所に移されたあとに船内にいる車たちの状況確認、救出、また火災の原因究明等が行われる前に、フェリシティエースは3月1日(火)現地時間9時頃、大西洋の中央部はポルトガルのアゾレス諸島沖合220マイル辺りで沈んでしまったとのこと。
最悪な終わりです。
船の運航者(曳航されていた人かな?)によると、フェリシティエースの最期は波に打たれ右舷側に45度傾き、沈んでいったそうです。
沈んだ原因としては、火災によって出来ていた船の構造上の問題と、火曜日の海の状況が荒波であったこと、そしてその条件下で曳航が始まったことだと言われています。
曳航(いわゆる船をロープで他の船が牽引する)が始まったとき、水が入り始め船は安定性を失い沈没。
商船三井のエム・オー・エル・シップマネージメント株式会社(MOL Ship Management)のスポークスマンであるPat Adamso氏によると、
“The weather was pretty rough out there...And then she sank, which was a surprise.” (天候はかなり荒れていた…そして驚くべきことに、彼女は沈んだ)
現在は船が沈んだエリアにタグボートと海難救助部隊が状況を監視する為に滞在しているとのこと。
そして現時点では船からの油による汚染はまだ確認されていないそうで、これについても確認作業が続けられているようです。
船が沈んだ3月1日の時点で、この船で多くの車たちを運んでいたフォルクスワーゲンはコメントを出すことを断っている状況。運ばれていた車たちへの損傷は保険でカバーされているということはすでに発表されています。
本当に数日前までは「もうすぐ曳航が始まる」という、船の火災という最悪な事態となったなかでも、まだ前向きなニュースが流れていたところにまさかの沈没とのことで、VWグループをはじめ多くの方がショックに打ちひしがれている状況ではないかと思います。
沈んでしまった車たち、そしてその車たちに関係されていた多くの方々のことを考えると本当にとてもつらいです。
ちなみに、リスクモデリング会社のラッセルグループ(Russell Group)による、今回フェリシティエースで運搬されていた車両すべてが失われたことを仮定に予測された内容によると、
- 今回の件で自動車メーカーには少なくとも1億5,500万ドルの費用が発生する
- 船には約4億3,800万ドル相当の商品が搭載されており、そのうち約4億100万ドル分は自動車であった
とのこと。
出典:
◆ Burnt-out ship carrying 4,000 VW Group vehicles sinks in rough seas
◆ Felicity Ace Cargo Ship Sinks in Shocking Turn of Events
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