高性能円筒形バッテリー強化へ
ポルシェAGは2025年3月4日にVARTA AGグループからV4Drive GmbHを買収したと発表。
ポルシェが同社の新たな筆頭株主となり、VARTA AGは引き続き一部の株を保有するものの経営には関与せず。
ポルシェとVARTA社は高性能な円筒型バッテリーの開発・製造で協力、それに伴いV4Driveは『V4Smart』にブランド名を変更されるとのことです。

この新しい名前には高性能バッテリーが自動車分野だけではなく様々な分野で活躍できることを強調する意味が込められているそうで、今後この超高性能リチウムイオン円筒型バッテリーの新たな顧客層の開拓が期待されるみたい。
V4Smartのバッテリーセルはすでに992.2型のポルシェ911 GTSモデルに「ブースターセル」として採用されている物なのは皆さまご存知の通り。

現在このバッテリーセルはEllwangenの工場で生産されており、Porsche Werkzeugbau GmbHの協力のもと量産体制が整っているとのことで、さらには4月以降にはNördlingeの新しい工場でも生産が開始される予定。

ポルシェAGの生産・物流担当取締役のAlbrecht Reimold氏は:
「ブースターセルによってモータースポーツの技術を市販車に取り入れることが可能になった。Tハイブリッド・ドライブシステムの重要な要素としてこのバッテリーセルはポルシェの象徴的な911の並外れたドライビングパフォーマンスを保証する。V4Smartの設立に向け大きな勢いとエネルギーを持って進めており、ポルシェのイノベーション能力をさらに強化してくれる専門知識を持つ新しいチームと一緒に仕事ができるのを楽しみにしている」
と語られています。

合弁会社の経営は
- Lutz Kramer氏:取締役会会長 (元Porsche Werkzeugbau GmbH)
- Andreas Tschürtz氏:生産担当マネージングディレクター (元VARTA AG)
- Monika Steuss氏:財務担当マネージングディレクター (元ポルシェAG)
の3名が担うとのことで、2025年末までに同社はVARTA AGグループから多数の従業員を採用し、EllwangenとNördlingeの両方の生産拠点で従業員数を約375名に拡大予定。
Nördlinge工場の生産ラインの開発もすでに進められているとのことで、Porsche Werkzeugbau GmbHが主導し、他のプラントエンジニアリング会社の支援を受けて進行中。

V4SmartとPorsche Werkzeugbau GmbHの戦略的パートナーシップのおかげで、セルの化学やセル設計から完成したバッテリーセル、さらにプロセスチェーン全体に至るまで円筒型バッテリーセルのプロセスチェーン全体を顧客に提供できるようになったとのことです。
今後の生産では新たに開発されたシステムを主に利用し、再生可能エネルギーを活用した運用を進めていく予定とのこと。
また、今回発表された内容とは別に、ポルシェAGはVARTA AGの株式取得を進める意向があるとのことで、それによりBaden-Württemberg州に拠点を置くVARTA AGグループの再建を支援する考え(この取引はまだ完了していない)。
今回の買収によってポルシェとしては高性能バッテリー技術の確保、そしてサプライチェーンが今よりは安定化出来る?かもしれず、今後のTハイブリッド搭載車両などの生産数拡大&さらなる技術開発が進むかもしれませんね^^
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