ファブリックはオリジナルの品質で
ポルシェがクラシックポルシェに採用されていたファブリックパターンを、ポルシェクオリティで再び提供されるということを発表されました。
これによってポルシェ356から911まで多くのヒストリックカーなどのインテリアをオリジナルのコンディションに復元することが可能に。
今回発表されたファブリック(生地)はポルシェセンターまたはポルシェのオンラインショップにて注文することが出来るとのことです。

購入可能となったファブリックデザインにはペピータやパシャ、タータン、ピンストライプなどの良く聞く「ああ、クラシックポルシェのあの柄の!」というものたちがずらり。
さらに色も様々なバリエーションから選択可能となっています。
今回ポルシェがこうしたファブリックの販売を始めた経緯としては、現在世の中に実際にはシートファブリックとしては全く適さない、あるいは短期間で外観がダメになってしまう模範品が多く出回っていることから、それらに対してポルシェとして実績のあるオリジナルの代替品を再び顧客たちに提供したい、ファブリック品質を保持したいと思ったからだそうです。
純正ではないものが沢山売れているのを見てこれは売れると思った出回ることが品質重視のポルシェには許せなかったのかもしれませんね~^^

ポルシェ純正部品として提供されるこれらの『新しい復刻テキスタイル』は、スポーツカーメーカーとしての高い品質基準を満たしているとのことで、それは手触りや耐久性だけでなく非常に複雑なパターンや配色を高い精度で再現している点にも当てはまるとのこと。
今回復刻された布地は難燃性、耐光性、耐色性、耐摩耗性といった各種テストを受けているので、シートやドア内張りなど車内の様々な箇所で安心して使用出来ると言われています。
ファブリックのサイズは1.5m × 2mサイズでの販売。
社内外の資料を広範に調査
これらのファブリックを作成する為の情報源はポルシェ内の社内アーカイブが主であったとのことで、さらには希少な在庫品も手に入れたりして調査されたそう。
以下が今回発表された新たに販売されるファブリックの種類となります:
| ファブリック | 対象車 | パーツナンバー |
| パシャ(白/黒):Pasha fabric white/black | ・928 (1978-1979) | PCG000000AS79A |
| 964 マルチカラー・コバルトブルー:964 Multicolour Cobalt Blue fabric | ・928 (1991-1993) ・944 (1991) ・964 (1991-1994) ・968 (1992-1993) | PCG000000AS9YD |
| タータン 赤/青:Tartan fabric red/blue (McLaughlan) | ・911 G-Model (1975-1980) ・924 (1980-1982) ・928 (1980) | PCG551081AS8AB |
| タータン 緑/青:Tartan fabric green/blue (Black Watch) | ・911 G-Model (1975-1980) ・924 (1980-1982) ・928 (1980) | PCG551082AS2AC |
| ポルシェレタリング・オリーブグリーン:Porsche lettering fabric Olive Green | ・911 G-Model (1985-1987) ・928 (1985-1987) | PCG000000AS1JK |
| ペピータ(黒/白):Pepita fabric black/white | ・356 (1963-1965)、356 Cのみ ・911 F-Model (1965-1973) | PCG551531AS730 |
| ペピータ(赤/黒/白):Pepita fabric red/black/white | ・356 (1963-1965)、356 Cのみ ・911 F-Model (1965-1973) | PCG551531AS005 |
| ピンストライプ・ベロア(黒/白):Pinstripe velour black/white | ・911 G-Model (1977-1989) ・964 (1989-1990) ・924 (1977-1988) ・928 (1978-1990) ・944 (1982-1990) | PCG000000107BN |
| ポルシェレタリング・ミッドナイトブルー:Porsche lettering Midnight Blue | ・911 G-Model (1987-1989) ・993 (1994-1998) ・924 (1986-1988) ・928 (1987-1995) ・944 (1985-1991) | PCG000000004GP |
| ポルシェレタリング・黒:Porsche lettering black | ・911 G-Model (1987-1989) ・993 (1994-1998) ・924 (1986-1988) ・928 (1987-1995) ・944 (1985-1991) | PCG043204902CZ |
この表にはありませんが、他にも伝統的なオレンジ色であるという『ロブスターカラー』のピンストライプを含む、さらなるカラーバリエーションが出されることも計画されているとのこと。
今後、色々な色が出てくるのも楽しみですね。きっとさらに高価なファブリック・トゥ・サンプル(FTS)が出てくるに違いない(笑)
ペピータ (Pepita) とは
ペピータは1963年以降ポルシェ356のシートオプションとして提供されたもので、その2年後には911のFモデルでも選択可能になったもの。

斜めのストライプでつながれたチェック柄で、ペピータという柄の名前は19世紀のスペイン人ダンサーであるJosefa Durán y Ortega氏の芸名であった『Pepita de Oliva (ペピータ・デ・オリバ)』に由来。
え?ダンサーの芸名に由来なの?!意外すぎる事実。
このペピータは1947年にフランスのファッションデザイナーであるクリスチャン・ディオール(Christian Dior)氏がレディースコレクションにこの柄を使用したことで有名になったとのことです。

タータン (Tartan) とは
タータンは伝統と職人技、帰属意識、そして自信を象徴しているそうで、1974年に911ターボに3種類のタータンを限定的に提供されていたそう。
ターボではなに911にもタータンが提供されるようになったのは1976年モデルから。

タータンは織りの工程で異なる色の糸を用いて作られるチェック柄が特徴となっているもの。
1973年のフランクフルト・アム・マイン国際モーターショー(IAA)でポルシェはブラックウォッチタータンのシートセンターとサイドパネルを備えた911 RSRターボのスタディを発表、その1年後にルイーズ・ピエヒ(Louise Piëch)氏はシルバーの911ターボ「No.1」を受け取ったとのことで、こちらのお車には赤いレザーインテリアで、シートセンターにはマクラフラン(McLaughlan)タータンがあしらわれていたそう。

パシャ (Pasha) とは
チェッカーフラッグを揺らす様子からインスピレーションを得たというパシャパターンは、モータースポーツ界へのオマージュだそうで、1977年に南フランスで928に初めて採用され、その後1980年代半ばまで911、924、944にも採用されていたもの。
パシャパターンはポルシェを象徴するインテリアデザインの1つとなっていて、この「パシャ」という名前はオスマン帝国のスルタンがシルクとベルベットの快適なクッションに身をゆだねる姿を想起させるものだったと言われています(どういうこと?)。

50年以上も前にAnatole ‘Tony’ Lapine氏とVlasta Hatter氏を中心としたデザインチームが、伝説的なErich Strenger氏のポスターをベースにこのパターンを開発。
様々な大きさの長方形を巧みに配置することでパターンに動きが生まれ、ポルシェのダイナミズムとエレガンスを視覚的に表現。

新しい911 スピリット70にもこのパターンが採用されています。
出典:(公式)Woven from dreams: Porsche brings back historic fabrics
