ポルシェの過去のボディカラーたちも選択可能
先月末に、ポルシェが「PTSで選択することが出来る色を追加したよ」と発表。PTSとは:
ポルシェをオーダーする時のオプションの1つである「Paint to Sample (PTS)」というもので、もともとポルシェのその特定モデルに用意されているカラーたちではなく、希望する好きな色にペイントしてもらったもの。
PTSカラーのポルシェ911 GT3 (992)たちと、ボディカラー全色比較
正確にいうと、ポルシェによって過去にすでに承認されたカラーたちがPTS、そしてまだ承認されていない自分の希望色を適用してもらいたい時には、PTSプラス (Paint to Sample Plus)というものになり費用もPTSよりもお高い別扱いとなります(これについては後述)。
PTSカラーまたはPTSプラスカラーはポルシェエクスクルーシブマニュファクチャー(Porsche Exclusive Manufaktur)により提供されるオプション。
今回、ポルシェがPTSカラーの追加に踏み切った理由として、ポルシェのインディビジュアル&クラシック部門のトップであるAlexander Fabig氏いわく
「珍しいボディカラーはポルシェブランドの歴史を通じて知られており、これらはとても重要な差別化となっている」
ということで、そういったクラシカルであったり、歴史あるボディカラーにしたいという顧客からの希望が多かったことから、現在のすべてのモデルシリーズたちに向けて選択することが出来る標準&スペシャルカラーを160色以上に拡大されたとのこと。
現在、ポルシェエクスクルーシブマニュファクチャーでは以前よりも、もっとPTSに対応できるよう生産性をアップ。
ツフェンハウゼンの本工場では、オーダーされたPTSカラーを作りあげるべくペイントのスペシャリストたちによって数十の成分がミリグラム単位でブレンドされるそうで、そういった色を混ぜる新しい機械も現在稼働し始めているとのこと。
色は2つのペイントポットに分けられていて、1つがボディワーク(車体)用で、もう1つがアドオンパーツ用。
ボディカラーを塗装するエリアは主にアルミニウム、プラスチック、そしてカーボン/ファイバー複合材で構成されていて、それぞれの素材に対して混合される材料や塗布方法・乾燥温度が異なるので、それぞれに対してわずかに異なる塗料構成が必要。
比較プレートも塗装されていて、これが最終検査時に色のリファレンスサンプルとして使われるものに。
PTSカラーには、例えば1990年代に911(964)に提供されていたポルシェファンたちの中で非常に好まれている以下の3色も含まれています^^:
- Maritime Blue:マリタイムブルー
- Rubystar:ルビースター
- Mint Green:ミントグリーン
今回こういった選択可能なPTSカラーを増やすこと、そしてPTSの生産性を上げもっと多くのPTSオーダーに対応することで、ポルシェの個別化戦略を強化しているようです。
選択できる色たちはそれぞれのモデルシリーズと生産場所によって異なるとのことで、例えば911と718シリーズでは100以上のカラーが新たに選択出来るようになり、パナメーラ、マカン、カイエンでは50以上のカラー、そしてタイカンには65色が選択可能なカラーに。
PTSオプションをつけた時の納期
PTSはポルシェセンターで車をオーダーする際にオプションの1つとして注文が可能で、PTSを選択した時には車の納期が標準色を選んだ時よりも約3か月長くなると言われています。
またモデルシリーズごとにPTS価格も異なります。
このPTSカラー選択については、2022年の早いうちにポルシェのコンフィギュレーターに組み込まれるそうで、その後、オンラインフィルターオプション(例えばカラーファミリーごとに見ることが出来たり、それぞれの色に関する歴史背景情報など)も見られるようになっていくとのこと。
コンフィギュレーターでPTSカラーでの車体も見られるようになったら、これは大変。さらにコンフィギュレーターで遊ぶことに時間を費やしてしまいそうです^^
ポルシェPTSプラスとは:Paint to Sample Plus
最初にも書きましたが、PTSに加えてもう1つPTSプラスというオプションも用意されていて、このPTSプラスは911、718、そしてタイカンのシリーズにて使用することが出来、選択できるボディカラーはほぼなんでもOKということに。
『なんでもOK』というのがどういうことかと言うと、PTSプラスをオーダーする為のプロセスは以下の流れになっていて、とにかく最終的にポルシェによってOKが出されれば何の色からでもボディカラーを作成してもらえるのです。
PTSプラス・オーダーの流れ
- ポルシェのボディカラーにしたい希望色のサンプルをポルシェセンターに持ち込む→サンプルは何でもよくて、シャツでもマニキュアの色でもOK
- ポルシェセンターからそのサンプルカラーがドイツのポルシェAGに送られる
- 個々のオーダーリクエストごとに、その希望色を作ってポルシェに塗装することが実現可能かどうかのチェックがされる(この確認作業には場合により数か月かかることもある)
- 実現可能と判断されたら、ポルシェのカラー専門家がそのボディカラーを配合、利用可能なペイント成分に基づいて色相を作りあげていく
- 続いてシェード(光りのあたり方や影)による違いも考慮され、色が作りあげられていく→太陽の光や人工の光のもとでその色がサンプル色と同じようになるように考え作られる
- さらには車体とアドオンパーツの製造条件におけるその色の実現可能性をテスト、この時カラーをペイントする「厚み」を定義することも必要不可欠となり、これらをすべて確認することで再現性のあるプロセスが安定した、エラーのないサンプルカラーの塗装が可能となる
- 顧客の実車に塗装する前には、色をテストボディに塗装
ちなみに通常の品質基準に従って希望のサンプルカラーの色合いを実現することが出来ないとわかった時には、この実現可能性テストにかかった費用はポルシェが負担してくれるとのことです。
まあ確かに「あ、すみません、この色は出来ませんでした」という結果でもオプション代だけはフルにチャージされたら、それはちょっとダブルでショックかもですよね^^
ポルシェPTS価格 & ポルシェPTSプラス価格
今回選択できる色が160色以上増えたカラー、その価格はまだドイツでのものとなりますが以下の通り(すべて19%のVAT込みの価格):
PTS
- ほとんどの911&718シリーズ: 8,806ユーロ(約113万円)
- 911ターボ、911ターボS、GTモデル&718 GT:9,877ユーロ(約126万円)
PTSプラス
- ほとんどの911&718シリーズ: 17,612ユーロ (約225万円)
- 911ターボ、911ターボS、GTモデル&718 GT:19,754ユーロ (約252万円)
ポルシェPTSカラーリスト
以下のサイトから、ポルシェが用意してくれているPTSカラーたちを見ることが出来ます(画像をクリックで新しい画面/タブが開きます)↓
出典: (公式) Comeback of historic colours for all Porsche models