ポルシェとパートナーであるチリの事業会社Highly Innovative Fuels (HIF)による合成燃料生産プロジェクト
2020年12月、今から約2年前に発表されていたチリでの合成燃料の開発プロジェクト。
このプロジェクトにおける工場『Haru Oniパイロットプラント』がついに完成したようで、2022年12月20日にチリのエネルギー大臣Diego Pardow氏によって正式に開設されたとの発表がありました。
この工場開設の際には、ポルシェの取締役会メンバーであるBarbara Frenkel氏とMichael Steiner氏が、この工場で製造された最初の合成燃料をポルシェ911に給油するというセレモニーが行われたそう。
この合成燃料は風力エネルギーを利用して水と二酸化炭素から作られたもので、ガソリンエンジン車をほぼカーボンニュートラルで運転可能にするものとのこと。
現在、世界中には13億台以上の内燃エンジン搭載車があるそうで、これらの車たちは今後もまだまだ走り続けることになるわけです。
それらの車たちに対しても車本体の方を変えることなく、これまで利用していたガソリンではなく合成燃料(eFuels)を利用することでカーボンニュートラルとなる代替手段を提供できるようになると言われています。
パイロット段階ではまず、年間約130,000リットルのeFuels生産が計画されており、これらの燃料は最初は
- ポルシェモービル1 スーパーカップ
- ポルシェエクスペリエンスセンター
といったところで使用される予定。
パイロット段階のあとはこの10年間の半ばまでに年間5,500万リットルを生産、そして2年後にはその容量は約5億5,000万リットルになると予測されています。
とにかくこの工場が建てられたチリ南部という地域は、年間約270日間風が吹くという土地だそうで、風力タービンをフル稼働することが可能となることから、eFuelsの生産に理想的な場所であるとのこと。
こちらがもともとの工場建設イメージ図でしたが…
まさにそのまんまな感じになってきましたね^^ ↓
それにしても風力タービンをフル稼働させることが出来るからと選ばれた土地なわけですが、風力タービンは1つしかないの?それで今の段階では間に合うということなのかな。
風力発電について良くわからないのでちょっと調べてみたところ:
1,500kW風車1基で年間300万kWh程度の発電量が見込まれます。これは一般家庭の800~1,000世帯で使用する電力使用量に相当します
日本風力発電株式会社様
とのこと。
そして、今回このチリのプラントに設置されていものはSiemensの風力タービンだそうで、この発電量は3.4MW(3,400kW)。
まずは次の段階で約280MW(28万kW)のとなり、最終的にこのプラントが産業規模に達するまでには2.5GW (250万kW)になる予定とのこと。え、なにそれなかなか凄い。
ここから360度ビューで工場を見ることが出来ます→ Haru Oni Pilot Plant
さらにこちらの工場はマゼラン海峡からも近い位置にあるとのことなので、生産されたeFuelsを世界中に輸送する際にも既存のインフラストラクチャを使用することが可能となっているそうです。
ポルシェは2030年までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラルになるよう取り組まれていて、このeFuelsが普通に生産されるようになれば内燃エンジン車であってもeFuelsを使用することでまだまだ”持続可能”となれば良いですよね。
ポルシェはこのeFuelsの開発と生産にすでに1億ドル以上を投資されています。
出典:
◆(公式)eFuels pilot plant in Chile officially opened
◆(公式)Construction begins on world’s first integrated commercial plant for producing eFuels
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