やっぱりポルシェ992はバッドボーイズカー
先日公開されていた、ポルシェがNFLスーパーボウル2020で放映するテレビCMの映像『HEIST』。
こちらのメイキング映像が公開になっていたので、見てみたいと思います。※動画はページ下部にあります。
Heistを見た時「このゲンチアンブルーメタリックのポルシェ992は、ハンドブレーキ付き仕様のバッドボーイズ3で使用されたものじゃないの??」と思っていたのですが、まさにその通りだったということもわかって、スッキリです^^
では、こちらの動画『Inside the HEIST』を見てみたいと思います。
放映されたテレビCM内容はこちらで見ることが出来ます:
ポルシェのCM撮影現場はドイツ
今回のこのHEIST、初日はドイツのシュヴァルツェンバッハ(Schwarzenbach)にて撮影が行われた模様(走行時撮影)。
撮影初日の外気温は37F(約2.8℃)。寒い!
この日の撮影場所は、盗まれたタイカンが、ポルシェ992や他のポルシェたちによって道をふさがれ、犯人が確保される場所となっていたダムである、Schwarzenbachダム。
今回のCM(動画)は、アメリカにとってめちゃめちゃ大きいイベントであるNFLのスーパーボウル向けのものであることから、スーパーボウルに向けても、またポルシェにとっても「価値あるもの」にしなければならないと、かなり気合を入れて撮影に挑まれていたようです。
実際、スーパーボウル中に放映されるCMの影響力は凄いのです。
CMのウケが良かった企業と「なに、このCM」と批判されてしまうようなCMになってしまった企業では、その企業に対してアメリカ国民が抱く感情がかなり変わってしまうくらい、一瞬のCMが企業イメージをかなり左右してしまう影響力のある放映枠。
ポルシェいわく、価値があるだけではなく、内容がさらには「面白く」なくてはいけなく(スーパーボウル中のCMはだいたいコメディな感じで面白いものが主流)、じゃあ色々なポルシェをレースさせようか…と考えると、撮影場所はドイツにするのが最も適切だと思った、という判断に至ったとのこと。
そう、Home of Porscheがドイツだから、やはり撮影はドイツで、と。
まさに、ここドイツは沢山の価値あるポルシェたちが飾られているポルシェミュージアムがある場所でもあります。
映像にはとにかく、色々なポルシェが出てきちゃう。それもまた見どころの1つ。
ポルシェCMに登場するポルシェたち
まずは918スパイダー (Porsche 918 Spyder)。
あとはもちろん、主役のタイカン (Porsche Taycan)。
カレラGT (Porsche Carrera GT)。
さらには、ポルシェ917K (Porsche 917K)。
推定価格は1,500万ドル(約16億円)とのこと。すごい。
この車は「ただレースで速く走るためだけに」作られている車。
よって、今回の撮影のように、レースではない走行で、他のポルシェとの距離やタイミングを見計らい、さらには人から「右いって!左いって!」と指示されるような状況下で、この純粋にレースの為だけに生まれてきたポルシェを運転するにはかなりの技術が必要であったそうです(もちろん、撮影ではプロのドライバーが運転)。
ポルシェ917Kにはリバースギアがない
しかも、私、知らなかったのですが、この917K、なんとリバースギア(バック)がないそうなのです。
そうだったの~!!
だから、毎回セットで車をバックさせなければいけない時には、こうして手で押していたそうです。
どうしてリバースがないのか?
そう、それは「レースではバックする必要ないから」。
んーーー確かに。レースでは前に進むのみ。いや~、どれだけ本当にレースの為だけに生まれてきたポルシェなのでしょう^^
続いて、映像に登場するもう1台のポルシェは、1974 ポルシェ 911 RS。推定価格は約150万ドル(約1.6億円)だそう。
こちらは撮影の際に使われた車。カイエン。こんなに凄い撮影機器をつけていてもひっくり返らないなんて凄い。
…って思ったら、撮影で車を追って結構なスピードで曲がった時には、車体が浮いたのでは?って思える動きをしていました^^
ドローンもなんだか、素人の私から見たら、これが主演でも映画になっちゃうのでは?って思ってしまいそうなくらい、凄そうに見える(笑)。
そしてこちらが「バッドボーイズ・フォー・ライフで使われていたポルシェ992じゃないの?」と思っていた、新型ポルシェ911(992)。
そうなのです、今回、こちらのメイキング映像の中で、やっぱりこの992は「バッドボーイ・カー」だと言われていました!
ですよね~。そうだと思った^^
モディファイされたハンドブレーキつき、って。
黄色の〇のところにある棒↓がハンドブレーキ。これがまた楽しかったそうです。
途中に出てくる、1960年ポルシェ・スーパートラクター(1960 Porsche Super Tractor)の撮影もこんな感じに。
可愛すぎる(笑)。
撮影は大変だったと思うのですが、この場を見学していたら楽しそうだな~なんて思いながら見ちゃいました。
これらの10台の車が一緒に走ることなんて過去1度もなかったので、それぞれのポルシェたちが、何が出来るか、または何が出来ないかも考えながら動く必要があったようです。
確かに、ポルシェのトラクターと、ポルシェ917Kなどが一緒に走ることなんて普通ありえないわけで(笑)。
1日目が終わって帰る時の様子。おつかれさま…。
なんだか本当に豪華。
撮影2日目に入ります。
この日の気温は22F(約-5.5℃)。さらに寒くなってる~。
この日の撮影クルーは約80名だそう。
2日目にはポルシェは8台、俳優さん5名。
この日は、最後タイカンが捕まって「じゃあ、次誰が悪役やる?」のシーン撮影となったようです。
3日目の撮影はポルシェミュージアムで。
撮影日はミュージアムを全館閉鎖して、中でも外でも好きなように撮影できる状態にして決行。
何がすごいって、このポルシェミュージアムに飾られている車たちは「ただ展示されている」だけのお飾りや骨董品の類に入るものではなく、どちらもみんな「ちゃんと走ることが出来る」わけです。
確かにそれって凄い。
ちなみに、今回のCM「HEIST」のなかで、ひっそりとカメオ出演を果たしているポルシェ992 GT3ですが、こちらのメイキング映像では特に新しいショットはなし。
さらに余談ですが、海外メディアがポルシェに対して「あのCMの中に映っているブルーのポルシェって992のGT3だよね」と問い合わせたそうなのですが、その返答は「私達は発売前の新しいモデルについて言及はしません」で終わったらしいです^^
さて、メイキング映像は続きます。
夜中にポルシェミュージアムの外にポルシェたちが出て行くシーンは、本当に夜中の2時すぎに撮影。
まさに実際にタイカンが盗まれそうな時間帯^^?
ポルシェミュージアム前のモニュメントがある場所のサークルを、数多いポルシェをドリフト走行させながら、かつ、撮影用のカイエンもそこに入り込まないといけなかったりして、撮影はかなり大変だったようです。
気温も低く、路面は滑りやすい状態で、なかなか危険だったのだとか。
撮影3日目は、朝5:30に始まって、まだまだ翌朝5時すぎに走っているという過酷なもの…。
撮影は4日目にはいります。この日はグリーンスクリーンの前での俳優の撮影等々。
夜の11時近くには、こちらドイツはシュトゥットガルトの宮殿広場に場所を移しての撮影。
本来この場所は車を走らせてはいけないそうで、さらには通常であれば公道を走らせてはいけないポルシェ917などを走らせるので、とにかく色々な許可をとっての撮影。
この日の撮影も、明け方5時すぎまでかかってます。
でも、まだまだ終わらない、撮影5日目。
ドイツは、ハイデルベルク(Heidelberg)でのカーチェイスシーン撮影。
気温約21F(約-6℃)の中、5か所で撮影。
それにしても凄いですよね。カーチェイスシーンでも、実際にはカーチェイスしてなかったりもするわけで(スタジオでの撮影)。
続いて、Day6はドイツのヘッペンハイム(Heppenheim)の街中でのカーチェイスシーンの撮影。
今回、このCMにかかわったスタッフは総勢110名くらい。USとドイツチームによる製作。
最後の最後に、結構驚いたのが、ポルシェUSの方が「NFLスーパーボウルのコマーシャルに、こんな小さな企業であるポルシェが参戦するなんて」と言われていたことでしょうか。
確かに、NFLスーパーボウルでCMを流す企業といえば、大企業ばかりなわけですが、でも、それにしてもポルシェが、ポルシェのことを自分たちで「小さな企業 (Small company like Porsche)」と言っていたことに驚きました。
私からしたら、Smallどころか、Biiiiig Companyと思えてしまうほどなのに(って、それはポルシェによって私の脳内のかなりの部分が占められているからか^^)!
今回のポルシェのCMのメイキング映像、見ることが出来て楽しかったです^^
ポルシェ・オフィシャル NFLスパーボウルコマーシャル:撮影の裏側映像
こちらがポルシェCMメイキング映像となります。20分くらいある、少し長い映像となっています。
Porsche “The Heist” Official Big Game Commercial | Behind The Scenes
★追記(2020年2月3日)★
このブログを書いたあとの2020年2月3日に、ポルシェが公式にこの撮影についてのプレスリリースも出されました。
その内容によると:
- 撮影チームメンバーは約150名に及んだ
- 撮影箇所は5か所
- ポルシェがスーパーボウルのCMを出すのはこれで2回目
- すべての撮影は2019年11月に行われた
- 撮影の際にカイエンに設置された機器は「ロシアアーム(Russian arm)」と呼ばれるもの
- 撮影には2台のドローンが使われた
- そのうち1つのドローンはレーシング・ドローンで時速160kmで飛ぶことが可能
- このCMはスーパーボウルのあとも、米国の映画館で放映される予定
とのこと。
ドローンの時速160㎞って凄いですね!