少し前にポルシェのカレラGTに起きているサスペンションの不具合問題がやっとのこと修正されることになるという報道があり、またその修理の際には(まだアメリカでの話ですが)すべてのカレラGTに無料で新品のタイヤがつけられるとも言われていました。
この修理に関してのお知らせがポルシェからアメリカのカレラGTのオーナー様たちに送られたわけですが、そこで初めてポルシェが新しくカレラGT用にタイヤを開発していることがわかったそうで、オーナー様たちに新たに無料でつけてもらえるタイヤがこの新開発のタイヤになるとのことなのです。
そのタイヤこそが『ミシュラン・パイロットスポーツカップ2』。
今回さらに正式にポルシェからも発表がありました。
カレラGTは2003年から2006年にかけて1,270台が生産された車なわけですが、言ってみればそんなにも遥か昔のかつ台数も少ないモデルの為に、今この2024年になって新たにミシュランと共同でカレラGT用のタイヤを開発されるとは。
新しく開発されたタイヤは最新のタイヤ技術で高性能タイヤのゴムコンパウンドと構造が最適化され、ウェットとドライの両方の路面条件でパフォーマンスが向上。
ポルシェのブランドアンバサダーであるイェルク・ベルクマイスター(Jörg Bergmeister)氏もすでにこちらのタイヤを試されたそうで「カレラGTはまさにドリームカー。だから新しいタイヤがこの伝説の車のパフォーマンスをまったく新しいレベルに引き上げたことを嬉しく思います」と語られています。
「伝説」にでさえ現代の最新技術にて開発された新しいタイヤをさらにまた用意してしまうポルシェはさすが^^
これがカレラGTにとっては2回目のタイヤアップデート
ちなみにカレラGTにはもともとル・マン24時間レース用に開発された自然吸気V10 エンジンが搭載されており、排気量は5.7リットル。馬力は450kW(612PS)、最大トルク590Nmで車重はたったの1,380キロ。
その最高速度は時速330キロであり、0-100キロ加速は3.9秒。
そんな素晴らしいポルシェが誇るカレラGTには当初から特注のミシュランタイヤ(パイロットスポーツPS2)がつけられいて、その後2013年にパイロットスーパースポーツタイヤが新たに開発されていたとのこと。
それが今回3つ目の新しいタイヤとしてミシュランのパイロットスポーツカップ2として登場したことになります。もちろんこちらのタイヤにはポルシェ承認のNマーク付き。
今回のタイヤ開発の目標はドライとウェットの両方の路面でのドライビングダイナミクスと安全性をさらに向上させることだったそう。
その実現のためにトレッドには2つの異なるゴム化合物(バイコンパウンドテクノロジー)を使用。
ウェットグリップに最適なコンパウンドを得る為に内側のショルダーと内側のトレッドブロックにはケイ酸を使用。そして外側のショルダーと外側のトレッドブロックのコンパウンドはドライグリップ用に設計。ここで最も重要な成分の1つはカーボンブラックとのこと。
さらにはドライビングダイナミクスとハンドリングの徹底的なテストにより接地面もさらに最適化。テストの一部はニュルブルクリンク北コースで実施されたそうです。
エンジニアの皆さんが限界域でのフィードバックを相当改善されたらしく、タイヤがグリップを失い始めるポイントをはるかに明確に感じ取れるとのこと。
カレラGTはより速く、より安全に
新開発のミシュランパイロットスポーツカップ2タイヤは緊急ブレーキ時にもより速く停止することを保証するとのこと。
時速100キロから停止までの制動距離は2.5メートルも短くなったそう。さらに時速200キロからの場合は停止までの制動距離が12メートルも短くなったとのこと。
パフォーマンスが向上されただけでなく、安全性も向上したわけですね^^
カレラGT用の新しいミシュラン・パイロットスポーツカップ2タイヤはポルシェクラシックパートナー、またはポルシェセンターがから注文可能とのこと。
…ですが、その前に日本でもリコールを受けられたカレラGTのオーナー様(つまり全カレラGTオーナー様)たちにもリコールへの対応に追加してこちらの新開発のミシュランタイヤが無償でアップグレードされてくると良いですね^^
出典:
◆Tyre update for a legend: even greater tyre dynamics for the Carrera GT
◆Porsche Carrera GT Gets Bespoke Michelin Pilot Cup 2 Tires Two Decades After Launch
関連記事:
◆ついにポルシェカレラGTのサスペンションの不具合が修正へ
◆カレラGTに関する記事一覧
◆フェラーリ承認タイヤとポルシェ承認タイヤについて学ぶ
◆ポルシェ認定タイヤの表記方法が新しくなって、アルファベット2文字+数字に