ポルシェメカニックの教育の為に
今回、ポルシェによって紹介されたポルシェが誇るスーパーカーであるポルシェ・カレラGTは、まったくもって普通ではありませんでした。
なぜなら、このカレラGTはすでに78回解体され、また再度アセンブルされているという個体だからです。
78回、解体されているって凄い。
でもこれは、このカレラGTが78回壊れたからなどという理由からではなく、こちらのカレラGTは、北米ポルシェのアフターセールスのアカデミー(教育機関)に属しているものだからという理由です^^
つまりは、アメリカにいるポルシェのメカニックの方々に、このユニークなモデルであるカレラGTのメンテナンスについて学ばせる為の個体ということ。
2004年にアトランタに来たカレラGT
2002年から、アトランタにあるポルシェメカニック向けの教育機関にてカレラGTコースの唯一の講師を務めるボブ・ハミルトン(Bob Hamilton)氏いわく、このカレラGTは2004年にルフトハンザ747便でアトランタに到着したとのこと。
2015年には、カレラGTが到着した滑走路からわずか数マイル離れたところに新たに出来た、ポルシェエクスペリエンスセンターアトランタに移動。
北米にはポルシェのメカニックを育てる機関が3か所あるそう(ペンシルバニア、カリフォルニア、アトランタ)なのですが、その中でもカレラGTクラスの研修はこのアトランタの施設のみでとなっているそうです。
アトランタの施設では年に2~4回カレラGTの研修コースを開催されているそうで、1回の研修につき6人のメカニックが4日間のクラスを受講するそう。
クラスでは、一般的なサービスから、クラッチの交換、ボディパネルやエンジンの取り外しまでが含まれるとのことで、この研修用のカレラGTは4日間にわたってバラバラにされ、またアセンブルされるという工程を繰り返しているのだとか。
192台のために
ここで何が凄いことかというと、カレラGTは全世界において1,270台しか作られておらず、そのうち北米のディーラーにて販売されたのはたったの192台であったそうです。
つまり、このアトランタで提供されているカレラGTのコースというのは、全米にある192台のカレラGTのためだけに、現時点において78回リアセンブルされているわけです。
もちろん、売っておいて「あ、メンテは出来ませんから~」とは出来ないでしょうし、逆にそういうことをしたら、それってポルシェとしてどうなの?となってしまうわけですが、それでもこうして192台の為に、日々研修がされているのかと思うと、やっぱり改めて凄いなと思いました。
ちなみにこの78回リアセンブルされているカレラGTは、アスコットブラウンレザーのインテリアに、クラシックGTシルバーの外装。モデルイヤーは2004年。
走行距離は、現時点で1,445マイル (約2,325km)とのことで、この走行距離はリアセンブルしたあとのシェイクダウン、他にはちょっとしたイベントへの参加させた時などのものだそうです。
本来、走るためにうまれてきたカレラGTですが、この車は「運転するのが目的ではなく、教育が目的」という位置付け。それもまた、このカレラGTには非常に重要な役割なわけですね^^
北米で教育用カレラGTが78回リアセンブルされているのだとしたら、ドイツ本国での教育用カレラGTがあるとしたら、いったい何回バラされているのでしょ…。
出典:(公式)King of the Classroom: Porsche Academy’s Carrera GT
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