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Porsche: ポルシェ

シンガー・ヴィークル・デザイン:Porsche 911 Carrera Coupe Reimagined by Singer 日本デビュー

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CORNES Day 2025 @富士スピードウェイの場で日本初公開:ポルシェ911カレラクーペ・リイマジンド・バイ・シンガー

2025年10月19日、富士スピードウェイにて『CORNES Day 2025 in Fuji Speedway』が開催されました。

本来なら丸1日かけてゆっくりと遊びに行かせて頂きたかったところなのですが、この日は他の予定と重なってしまっていた為「今回は行けないな~」なんて思っていたのです。

が、その後。

この場でなんとSinger Vehicle Design(シンガー・ヴィークル・デザイン)の『Porsche 911 Carrera Coupe Reimagined by Singer』が日本デビューされるというお話を聞き、それはもう行かなきゃと。

というわけで、ささっと富士スピードウェイまで向かい午前中だけとなりますが楽しませて頂いてきました。

今回この場でお披露目されるお車の発表自体はすでに2025年5月にされていて、以下の場にてお披露目がされていました:

  • 2025年7月:英国 Goodwood Festival of Speed
  • 2025年8月:米国 Monterey Car Week (The Quail)

そしてそれらに続いて今回が世界で3番目のお披露目の場となる日本での華麗なるデビュー。

それがこのコーンズデー2025の場であったのです。

コーンズ・モータースとシンガー・ヴィークル・デザインは2024年にパートナーシップを発表され、現在コーンズは日本でのSinger Vehicle Designに関する情報発信、また購入やメンテナンスなどをサポートされています。

なのでSinger Vehicle Designのご購入にご興味ある方は是非コーンズ様にご相談を^^

ポルシェ911カレラクーペ・リイマジンド・バイ・シンガー日本発表

プレスカンファレンス/トークショーという形で行われたこの日、まずはSinger Vehicle Designの創業者兼会長ロブ・ディキンソン(Rob Dickinson)氏による今回の『ポルシェ911カレラクーペ・リイマジンド・バイ・シンガー』の説明からスタート。

こちらのPorsche 911 Carrera Coupe Reimagined by Singerは、シンガーがレストアされた『初の自然吸気エンジン(NA)』搭載車とのことで、ロブさんいわく今まで「ターボも良いけれどNAが欲しい」という声も沢山もらっていたことから、この車を発表したあとの顧客からの反応はとても良かったとのこと。

100台限定での生産とのことですが、なんともうすでにその100台全部売り切れてしまっているそうです。

え、もう買えないの?それは残念すぎる(←もう買えないことがわかっているから安心してこんなことが言える私(笑))。

Singer Vehicle Designはポルシェ911の964型を再構築されることで知られているわけですが、今回のお車は911のGモデルからインスピレーションを得て作られているとのことで、80年代の筋肉質なターボボディにNAというものをオマージュを込めて現代ならではの最適化をされたものだそう。

ちなみにSinger Vehicle Designは過去に1度として同じ仕様の車を作ったことがないことで知られ、シンガーが再構築するポルシェ911たちは顧客が想像する理想のクラシックポルシェ911をシンガーというレンズを通して実現していくことがビジョンであると言われています。

2つのバージョンを用意

今回のこちらのお車は2つの違うスタイルでオーダーすることが出来るそうで、その2つというのがツーリングバージョンとスポーツバージョン。

この日展示されていたお車はツーリングバージョンですが、もう1つのスポーツバージョンにすると、よりエアロダイナミックなダウンフォースを発生したりするとのこと。

2つのバージョンはそれぞれ「フロントバンパー」と「リアスポイラー」(あとタイヤも)の変更により変えることが出来るそうで、その交換用パーツはボディカラーと同色のフライトケースに収められて提供↓

ロブさんいわく、例えばツーリングで富士スピードウェイ(FSW)まで走ってきて、フライトケースで持ってきたパーツをFSWで交換したらスポーツバージョンでサーキット走行、その後走り終わったらまたツーリング用パーツに交換して帰るなんていうことが出来るよね、と。

うーん、なんという贅沢プラン。

でもそうやって同じ1台なのにパーツを交換することによって2台分楽しめるという構成になっているとのことです。

ちなみにツーリングまたはスポーツバージョン用の交換パーツはもちろん顧客の希望による選択なので、1台に2台分のパーツが標準でついてくるわけではなく別途購入が必要です。おぅ。

エンジン

続いては今回のお車に搭載されたエンジンについての説明をして下さいました。

今回シンガーが再構築するポルシェ911としては「初」となることがあって、それらが:

  • 水冷シリンダーヘッドと空冷シリンダーの組み合わせをNA仕様で採用
  • 可変バルブタイミングの採用

の2つ。

イギリスの老舗レーシングエンジンビルダーであるコスワース(Cosworth)と一緒に開発されたNAエンジンとのことで、コスワースがポルシェ911のエンジン制作でコラボレーションするのはこれが初めてのことだそうです。

何をされたかったかというとそれは「最大限の馬力」と「最大限のトルク」を引き出すこと。

最大限のパワーを引き出す為には高回転をさせる必要があり、その時に出る熱をマネージする必要があったことからエンジンヘッドは水冷で冷やすことに。そして通常ファンが取り付けられている位置から、より効果的に冷やせるようにエンジンのトップ部分にファンを移動させたとのこと。

なぜ移動させることが可能になったかというと、このファンはEモーターで動かされているから。

ファンの位置についてわかりやすく見て頂くと…ハイ、せっかくなのでロブさんに説明して頂きましょう。

「つまりね、もともとあったファンの位置をここから…」↓

「ここに持ってきたわけよ」↓

…ってわかりました(笑)?

そしてさらにもう1つ新しいことである可変式バルブタイミングを採用したことにより、ドライバビリティも非常に良くなってトルクを使える幅も飛躍的に広がるためにより使いやすく、走りやすいエンジンになるとのこと。

さらにはこの4.0リッター水平対向6気筒エンジンは420馬力(PS)を発生させるとのことなのですが、こちらちゃんと低エミッションになるように対応されているそうなので、世界中どこの国においても環境規制対応の為にパワーを下げる必要なく420馬力を出すことが出来るそうです。

エンジンには

  • 4.0L Air-cooled Flat Six
  • Naturally Aspirated
  • Variable Valve Timing
  • Water-cooled 4 Valves per Cylinder

と書かれたプレートもつけられていました。

トークショー・セッション

ロブさんから一通りの説明があったあとは、続いてトークショーセッションへと移ります。

トークショーには:

  • シンガー・ヴィークル・デザイン創業者兼会長 ロブ・ディキンソン氏
  • シンガー・ヴィークル・デザイン チーフドライバー マリーノ・フランキッティ氏
  • 株式会社SNデザインプラットフォーム CEO 中村史郎氏

の3名と、司会の方と通訳の方を交えてのものとなっていました。司会は自動車コンテンツクリエイターのディーノ・ダル・カルボナーレ(Dino Dalle Carbonare)氏。

最初に中村さんが「なぜ一見シンガーとは何も関係なさそうな自分がこの場にいるのか」というお話をされたのですが、ここからのお話が私にとってはとても興味深いものでした。

というのも、Singer創業者であるロブさんはもともとロータスの車のデザイナーさんだったとのことで。びっくり。

中村さんも車のデザイナーであったことから共通の知り合いが多くいたので、シンガーが再構築した911を初めて見て衝撃を受けたあとに紹介してもらってロブさんに会いに行かれたことが始まりだそうで、今ではご自身をロブさんのサポーター(もちろん無給で(笑))と話されていました。

さて、そして中村さんが初めてロブさんを訪れた時のシンガーの工場はロスの北の方にある薄汚いところだったそう(笑)…でもそれがまたカッコ良かったと言われていたのですが、本当にそんなどこが入口かもわからないようなバックヤードみたいなところだったそうなのです。

そんな薄汚い(すみません(笑))工場に現れた短パンに帽子というラフな姿のロブさんと、そこに置かれていた美しいシンガーが再構築された911たちというコントラストが凄かった、と。

なんというか、このお話を聞いていてその光景が目の前に広がるような気がしました。

前述の通り、その場に置いてあった1台1台すべてが色も内装も素材も違うもので、さらには物凄いディテールに注意をはらってつくられていた車たちで、こんな素晴らしいものはないと思われたそう。

「これは普通の才能では出来ないこと」だと驚いたと話される中村さん…に、ロブさんが「You are too kind (いやいや、言い過ぎですよ~)」とつっこむシーンがあったりして、可愛い^^

また、中村さんは今回のクーペ(Porsche 911 Carrera Coupe Reimagined by Singer)が今までで1番オーソドックスな感じがして、これがピュアにロブさんが考える911の形というものを作られたのではないかなと思うと言われていました。

続いてSinger Vehicle Designのテストドライバーであるマリーノさんからのお話。

私、存じ上げていませんでしたがマリーノさんは2012年に荒聖治さんと同じチームとしてFSWをスーパーGT (GT500)で走られていたのですね~。

それもあってFSWはよくご存知なようで、その他日本の車カルチャーへのパッションや知識を素晴らしいと言われ、日本に来られることを家に帰ってきたような気持になると言って下さっていました。

そういうマリーノさんご自身の最初のポルシェの記憶は2歳くらいの時に父親が運転する930ターボ。幼い頃からポルシェという存在が身近にあったのですね。

今回のクーペの何が特別なのかと質問された時の回答としては、こちらの車はまだ開発中だからそのきちんとした答えは来年くらいになるのではないかとのことでした。

続いてロブさん。

ロブさんもポルシェとの出会いはご自身が5歳くらいの時に父親から見せてもらった911だったそうで、その時は圧倒されつつも「欲しい」というより「なんだこの車は」という不思議な感覚だったそう。

その後も家族旅行で訪れた地で凄いスピードで走り抜ける911を見て驚いたりしながら、もうその5歳くらいの時からすでに車への興味がどんどん強まっていたとのことです。

さらにロブさん、実はそこそこ上手に絵が描けたそうで「車が好きで絵が描ける」となれば「あ、じゃあカーデザイナーだな」という流れで、大学でもカーデザインを学ばれたのち、カーデザイナーになられたそうです。

ロータスのデザイナーさんに誘われロータスに入社、カーデザイナーとしての道を歩み始めるわけですが、その頃ギターにも出会われてしまったそうでロブさん曰く「(ギターとの出会いが)問題の始まり」と(笑)。

ロータスに入ったロブさんなわけですが、そこで思ったというか、気づいたのが「カーデザイナーにはなりたくないな」ということだったとか。えええ。

というのも、その頃のロータスのデザインセンターはレーストラックの隣にあるプレハブだったそうで、そこに座りながらあと30年くらいこうしてデザインをしていく人生なのかと思うと、ご自身がされたいのはそうではないということで、すでにギターに出会いロックバンドもやっていたことからロータスを辞め音楽の道へ。

ちなみに会社名である『Singer Vehicle Design』は、ポルシェのエンジニアであるNorbert Singer氏に敬意を示しているというのと、もともとロブさんがボーカリスト(Singer=歌う人)であったことから、Singerという名前になったというのは有名なお話^^

音楽キャリアをスタートさせたロブさんは2003年にアメリカはLAに移られたわけですが、その時に自分の為に自分のポルシェ911を作られたそうです。

LAにいたことからカリフォルニアの自由な感じなどを取り込み自分にとってパーフェクトな911を作られたロブさん。

そのお車でハリウッドエリアを日常的に走られていたところ、その車を見た人からは写真を撮られたり、欲しがられたり、挙句の果てには雑誌にも掲載されたりしたとのことで、そういう体験を経て「もしかしたら他の人たちも自分と同じようなポルシェ911へのパッションを持っているのかも」と気づかれたとのこと。

そしてそこで初めて自分が作った車を人に提供するという考えが生まれ、2009年にSinger Vehicle Designを設立。

ポルシェへの敬意

そんなロブさんが毎回ご自身のSinger Vehicle Designについて語られる時に必ず伝わってくるのが『ポルシェへの敬意』です。

今回もロブさんはSingerはレストア専門のメーカーではあるけれど、他の同じ様に車をいじるメーカー/ショップと大きく違うのは自分たちは自分たちを称えて欲しいのではなく『世界最高のスポーツカーの存在であるポルシェを称えたい』のだと言います。

とても強調されていたのは彼らは『Celebrated Porsche, and we did not celebrate us』。

今までやってきたこと、すべてのことは『セレブレーション・オブ・(ロブさんが思う)世界一のスポーツカーであるポルシェ』なのです、ということでした。

MT車やICEは今後残っていくのか

あとは今、社会全体で環境規制とか色々起きているわけだけれど今後のMT車とか内燃機関車(ICE)とかの存在についてどうなっていくと思うかという質問に対しての回答が行われました。

ここでまた中村さんがお話された言葉がとても響きました。

それが「間違いなくMTもICEも残ると思う。今でも乗馬する人がいるでしょう。車が馬にとって代われなかったものがあるからです。乗馬することから得られるエキサイトメント、美しさなどがあるから」というもの。

これはもう「確かに!」って。私が漠然と「とはいえ、ICEは残るでしょ」って思っていたものをとてもわかりやすく言語化して下さった気持ちになりました。

「人が作った温かみは残る。(例えば今回のSingerが再構築された911など)モノを通じて人の情熱や哲学、温かみが感じられるものは存在の数自体が減ったとしても今後も必要で残ると思う」と。

うーん、本当にそう思います。共感しかない。

電気自動車に関しては、なんとロブさんはLAではマカンEVに乗っているそうで、LAという街においては電気自動車のマカンは便利で使い勝手が良く、いわゆるEVもこうして「適材適所」な感じでありえると思うと言われていました。

でもじゃあ過去に何人のSingerの顧客から「エレクトリックモーター(EVモデル)の車をSingerに頼みたいな~」と言われたかというとその数「0人」。誰1人としていなかったそう。

今でも展示会とかで若い人達が新しい、そしてクラシックのICE車を見て凄いと反応する姿を見るし、人が持つICEへの想いはなくなるものではないと思うと。

最後にこの日、日本デビューを果たした「Porsche 911 Carrera Coupe Reimagined by Singer」についてですが、このお車には最新のテクノロジー(カーボンファイバーやマグネシウム等含む)が使われているけれども、それはポルシェ911がもつアナログのエクスペリエンスを最大化する為に使われているとのこと。

それと今回はもう1つ内装として初めてのことがあるそうで、それが「コーデュロイ」の生地を使われたということ。

ポルシェが伝統的にコーデュロイを使われていたことへのオマージュだそう。

あとはレザーのエッジ仕上げはエルメスらしさを再現するなど、色々なところに色々な周りからのインスピレーションを受けられているとのことです。

もちろん、これらは個々の顧客からの希望によって色々と変わってくるものなので、今後再構築されていくポルシェ911たちはそれぞれ違った色や内装になっていくわけですが。

今回のPorsche 911 Carrera Coupe Reimagined by Singerはすべてを高いレベルで達成しているということを目的とされたとのことで、その雰囲気はイタリア・コモ湖畔にあるPassalacqua Lake Como Hotelからインスピレーションを得たヨーロッパ的雰囲気を持っていて、ボディカラーも『パサラクワ・ブルー (Celeste Passalacqua)』という色。

鮮やかだけれど少しトーンダウンした淡い綺麗な色となっていました。

すべてのプレス発表内容が終了したあとは自由に車の撮影等をさせて頂けたのですが、ちょうどロブさんがいらっしゃったので「お車と一緒に撮らせて下さい~」とお願いして撮らせて頂きました。

私がスマホで1枚のみぱしゃっと撮らせて頂いただけなのに、その1枚がこのカッコ良さ。さすがのロブさんと”Porsche 911 Carrera Coupe Reimagined by Singer”でした。

今まで色々と会わせて頂いたSingerが再構築されたポルシェ911たちの中で、私個人としては今回のPorsche 911 Carrera Coupe Reimagined by Singerが最も好きだな~と思いました。

買えないのがホント残念(←だからもう売り切れて買えないことがわかっているからしか怖くて言えないセリフ(笑))!

ちゃっかりロブさんにまたサインも頂いちゃいました。嬉しい^^

この日のプレス発表はただ新しいお車のお披露目というだけでなく、Singer Vehicle Designの始まりや、Robさんたちの想いを沢山伺うことが出来て私にとってとても貴重な機会になりました。

Singer Vehicle Design様、そしてコーンズ・モータース様、ありがとうございました!

※この日ちょこっとだけですが周らせて頂いたコーンズデイ2025につきましてはまた別途写真アップ等したいと思います。

関連サイト:
Singer Vehicle Design
singervehicledesign
コーンズモータース(Singer Vehicle Design)

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