新型911 GT3 Rが新型911カップと同日に発表
2025年8月8日に新しく992.2型となる『911カップ』が発表となったと同時に、こちらの『911 GT3 R』も発表となりました。
こちらの新型は2026年シーズンに向けて発売予定。改良された空力特性をはじめとした細部に至るまでの様々な最適化が施されているそうです。

現行のポルシェ911 GT3 Rは2023年初頭のデビュー以来、世界中で500回以上のレースに参戦し数々の輝かしい実績を築いてきた車。
昨シーズンだけでもカスタマーチームがインターコンチネンタルGTチャレンジでメーカーによる非公式GT3世界選手権を獲得し、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTD Proクラス3つすべてで優勝したり。
他にも:
- ニュルブルクリンク・ロングレース・セリエ(NLS/Nürburgring Langstrecken-Serie)でポルシェ・モータースポーツがこれまでにカスタマーチームに106台を納入してきた現行GT3 Rが伝説のノルドシュライフェで行われた8レース中6レースで優勝
- FIA世界耐久選手権(WEC)のLMGT3チームとドライバーに与えられる初開催のエンデュランス・トロフィー獲得
- ル・マン24時間レースでライバルのスポーツカーメーカー8社に勝利してクラス優勝
- 今シーズンもフランスのクラシックレースで再び無敗を維持
- DTM(ドイツツーリングカー選手権)では2023年チャンピオンのトーマス・プライニングが先日ノリスリンクで勝利を収め2025年のタイトル獲得への挑戦を再び燃え上がらせたところ
などなど。

今回の改良ではサスペンションと空力性能の最適化に重点が置かれ、変化する路面状況下でも特にアマチュアドライバーにとってよりバランスの取れたハンドリングと向上したドライバビリティを実現することを目指されたそう。
シャーシと空力の最適化
新型911GT3Rの外観上の特徴としてはフロントホイールアーチ上部に追加されたベンチレーターダクト。
いわゆる「ルーバー」と呼ばれるこのダクトがエアロダイナミクスの向上に大きく貢献してるのだそう。

力に対する抵抗力を高めることでアンチダイブ効果を発揮するダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションの最適化された運動学と相まってルーバーは減速時のフロントエンドの圧縮を抑制、空力バランスを維持。
これによってブレーキング時に車体が前傾する傾向(ピッチセンシティビティ)が軽減され、その結果より正確で予測可能なブレーキング挙動を提供し全体的なコントロール性が向上。
リアにはスワンネック型のリアウイングに4mm厚のガーニーフラップが装備されていて、これによりさらなるダウンフォースが発生、空力バランスの調整範囲が広がるとのこと。

アンダーボディはリア部で完全に密閉&補強されていて、同時にマルチリンク式リアアクスルの運動学を改良することでアンチスクワット効果が向上し急加速時のリアエンドの圧縮が低減され、アクスル間の動的荷重配分が改善。
これらの改良とボッシュ製の改良型第5世代レーシングABSを組み合わせることでよりバランスの取れたハンドリングを実現されているとのことです。
さらに世界中の様々なレースイベントでポルシェモータースポーツのカスタマーチームから得られた膨大なフィードバックに基づき細かい改良も:
- 電動油圧式パワーステアリングシステムに流体冷却が追加され熱性能が最適化。ニュルブルクリンク北コースなどの過酷なサーキットでも一貫した操舵力を保証
- 新しいセラミックホイールベアリングは堅牢性と耐久性を高め、改良されたセンタリングピンはドライブシャフトの取り付けを簡素化
- ドライブシャフトはブレーキ冷却とは独立してサイドスカートのNACAダクトを介した専用の空気供給によって直接冷却されるように。これにより低い車高が重要となるモンツァやル・カステレなどの高速サーキットでの安定性が向上
- 同時にリアブレーキの冷却システムをより正確に調整できるようになり、これはデイトナなどのサーキットでは重要な機能
- 改良されたドライバーエアベントは長距離レース中でもコックピット内の空気循環を一定に保つ
- RLU USBスティックには実用的な利点が加わり、このリモートロガーユニットは新型911 GT3 Rの走行データをUSBスティックに直接保存し、短時間のピットストップ中でも簡単に交換が可能→ケーブルでノートパソコンを接続する手間が省ける
など。

豊富なオプションパッケージを標準装備
さらに今回の新型911GT3Rでは今までは標準装備ではなかったものたちがオプションパッケージとして提供されるそうで、それらが以下ものたち:
- センサーパッケージ
- エンデュランスパッケージ
- ピットレーンリンクパッケージ
- カメラパッケージ
これらのキットには
- レーザー車高センサー4個
- マスターブレーキシリンダーポテンショメーター2個
- 路面温度センサー1個
- リアビューカメラ
- ウォーターボトルシステム用マウント
が含まれるとのこと。

また、給油検知センサーは燃料ノズルが挿入されたことを検知し、追加の給油LEDと併用することでIMSAやFIA世界耐久選手権などのシリーズ、そしてスパ・フランコルシャン24時間レースにおいて最小限の給油時間とエネルギー量の遵守を保証する上で重要な役割を果たすそう。
カスタマーチームはGT3シリーズの要求に合わせてカスタマイズされた幅広い特別装備オプションを選択できるそうで、それらには:
- FIA LMGT3クラスとIMSAでは専用ドライブシャフト
- NLSではLMGT3と同様の改良型プリサイレンサー、調整範囲が変更されたウイングサポート
などが含まれるそうです。

競争的な条件下での最初のテスト走行は成功
4.2リッター水平対向6気筒エンジンはBoP(Balance of Performance)区分に応じて最大416kW(565PS)を発揮し、現行911 GT3 Rのドライブトレインからほぼ変更はないとのこと。
ポルシェ・モータースポーツは992型911をベースとした既存車両向けに約60種類のアップデートキットを41,500ユーロ(各国の消費税別)から提供する予定とのことなので、すでに既存のGT3 Rを所有されている方もこのアップデートキットを購入することで、車両本体を新たに購入しなくても改良の恩恵を受けられるということになります。

新型911 GT3 Rの開発は2024年8月に開始されたそうで、その後ヴァイザッハのポルシェの施設に加えてセブリング、ポール・リカール、スパ・フランコルシャン、ニュルブルクリンク北コースといった常設サーキットでもテストを実施。
4月中旬にはヘルベルト・モータースポーツがエントリーしたテスト車両がベルギーグランプリサーキットで開催されたミシュラン12時間スパ・フランコルシャンに参戦、厳しいコンディション下で重要なテストが行われたそう。

元ポルシェジュニアドライバーでIMSA GTDプロチャンピオンのLaurin Heinrich氏は、ドイツ出身のRalf Bohn氏、Alfred Renauer氏と共に2部構成のレースで総合2位を獲得されたとのことで、すでにこちらの新型GT3Rのテスト走行は大成功といったところのようです。
なんとも強そうな外観していてカッコ良いですし、今後の活躍にも期待が出来る新型911 GT3 Rですね^^

出典:(公式)Porsche customer teams can rely on optimized 911 GT3 R from 2026
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◆新型ポルシェ911 GT3 Rがめちゃめちゃカッコ良いのですけど~