Porsche 718 Cayman GT4 Clubsport MR
さてさて、ポルシェ718ケイマンGT4 クラブスポーツMRですが、こちらのモデルに天然繊維複合素材で作られたコンプリート・ボディキットを採用して、今年2020年のニュルブルクリンク24時間レースに参戦することになったとのこと。
2019年初めから、ポルシェはレースカーの2つのドアとリアウィングを、主に再生可能な原材料を原料とする天然繊維の混合物から作っていたとのこと。
…ん?
それってそうか、まさにそれが以前『主に亜麻や麻の繊維などの農業副産物から供給される有機繊維の混合物で造られている』と言われていた、2019年のポルシェ・スプリントチャレンジ・ジャパンの際に見せて頂いた718 Cayman GT4 Clubsportとかなわけですね↓
その時、その混合物で作られたというドアを、実際に自分の手で開け閉めさせて頂く機会があったのですが、そのドアのあまりの軽さに「何これ!!」と言ってしまったことを覚えています。それほど軽かったな~。
そして、今回のニュルブルクリンク24時間レースに参戦するポルシェでは、今までのようにドアとリアウィングだけではなく:
- フロントエプロン
- リアエプロン
- フロントスポイラー
- フロントリッド
- リアリッド
- マッドガード
- エアロダイナミクス・フィンを含むディフューザー
までもが、今まで使われていた金属やプラスチックで作られていたものに代わって全て再生材料で作られることに。
なんだかぱっと見ると木で出来ているように見える^^
重さと剛性はカーボンファイバー並み
この再利用可能な天然繊維複合素材は、その重さと剛性の面においてカーボンファイバー並みであるとされていて、カーボンファイバーと同じ高い安全性と品質基準を満たしているとのこと。
か、顔だけ…ちょっと怖い…。
そんな品質的にはカーボンファイバーなのに、この天然繊維複合素材の方はより安価で、かつより少ないエネルギーを使って製造することが出来るそうです。それは良いことばかり。
ちなみにこの素材の開発は、2016年からポルシェと、連邦食品農業省(the Federal Ministry of Food and Agriculture/BMEL)、Fraunhofer WKI、そしてスイスの会社Bcompによりスタート。
ドアには軽いバルサ材が材料のコアとして使われ、そのサンドイッチ構造は、カーボンファイバー部品の製造でよく使われるレジントランスファー成形(Resin Transfer Moulding/RTM)のプロセスにより作られるそう。
それとは対照的に、リアウィングはその層はエポキシ樹脂で含浸されたのち、オートクレーブで焼かれるという方法で作られる。
そして今回新しく追加された、天然繊維強化プラスチック製のパーツは、真空注入プロセスを使い、スイスの会社であるBcompが持つ独自のパワーリブ技術(PowerRibs Technology)によって剛性要件を満たすように作られているとのことです。
様々な繊維の厚さと配向によって、必要な目的に応じた調整をすることが可能となっているそうで、天然繊維複合素材は車両のフレームではない部分、またはその部分的なところのみのパーツに適していて、良い点のもう1つと言えば振動を5倍ほど減らすことが出来、かつ万が一事故になった時にもそれらパーツは大きめで、より鋭角ではない破片となることと言われています。
今回の2020年ニュルブルクリンク24時間レースでは、チームフォーモータースがプロジェクト1モータースポーツと共に、この天然繊維で作られた3.8リッター水平対向6気筒エンジン、425馬力を誇るポルシェ718ケイマンGT4クラブスポーツMRにて参戦することになるとのことです(番号は420番の車)。
今回のこちらの718ケイマンのドライバーは、Matthias Beckwermert氏、Henrik Bollerslev氏、Nicola Bravetti氏、そしてMarco Timbal氏の4名。
今回の耐久レースにてこの天然繊維を利用したケイマンが良い結果を出せた場合、マンタイレーシング(MR)がこの同じパーツキットを一般顧客向けにも提供できるようになる可能性もあるとのことです。
出典:(公式)Racing cars with body parts made of renewable raw materials