ポルシェ911 GT3:25年間の軌跡
1999年3月のジュネーブ国際モーターショーにて最初のポルシェ911 GT3が発表されてから今年で25年。
この25年の間に4世代の911からGT3が出されています(996、997、991、992)。
このGT3の25周年を記念してポルシェがGT3の今までを振り返られていましたので見てみたいと思います。
GT部門のプロジェクトマネージャーであるアンドレアス・プロイニンガー(Andreas Preuninger)氏いわく『911 GT3では一貫した軽量構造が優れたドライビングダイナミクスと紛れもないデザインと融合している。レーシングバージョンとロードバージョンの両方がポルシェのDNAを中核に持ち、ポルシェのモータースポーツ経験を反映。世界中のレーストラックでの勝利のすべてが全てのGT3に込められている』。
ポルシェではこのGT3シリーズにはサーキットの最も過酷な状況下でも信頼性が証明された要素をシリーズに組み込むことが伝統となっているそうで、GT3は他の911とは異なりポルシェモータースポーツ部門の象徴。
25年間、公道を走ることが出来るこのスポーツカーは新しいモデルが出るたびに性能が向上、より速くより正確でよりダイナミックになっていったとのこと。
911GT3のレーシングバージョンももちろん成功を収めてきていて、ニュルブルクリンク、スパ、デイトナの主要な耐久レースで数多くのクラス優勝と総合優勝を記録。
そんな凄いGT3なわけですが、それでもポルシェで40年間レースエンジニア/テストドライバー/開発ドライバーを務めたRoland Kussmaul氏は「GT3はサーキットでこそ真価を発揮するが、同時に日常的に使用できる高性能なスポーツカーでもある」と言われているわけで、これがまた凄いところ。
ポルシェ911 GT3、4世代にわたる進化
過去4世代にわたって登場してきたポルシェ911 GT3の進化を簡単に見てみたいと思います。
996型 GT3
まずは1999年3月にジュネーブ国際モーターショーで発表された265kW(360PS)のGT3。
これがいわゆる996型世代であり、この発表から数か月後に911の996世代が発売になったそうです。
初代のGT3には911 GT1の6気筒自然吸気ボクサーエンジンを改良した3.6リッターエンジンを搭載。エンジンは7,200rpmで最大出力を発揮し、レッドゾーンに入るのは7,800rpm。
時速302㎞/hのこのGT3でヴァルター・ロール(Walter Röhrl)氏は全長20.8kmのニュルブルクリンク北コースを8分未満(正確には7分56.3秒)で走るという快挙。
公道を走ることが出来る車がこの記録を達成したのはこれが初めてのことだったそう。
続いてのアップグレードは2003年に登場(これが996.2)し、出力が15kW(21PS)向上。このアップグレードは排気量と燃費は同じまま、パワーとトルクを高めるという原則に基づいているとのこと。
997型 GT3
さらにそこから3年後の2006年には305kW(415PS)を超えるさらに強力な出力と8,400rpmという新しい最高エンジン回転数を誇る997.1世代のGT3が登場。
ハイスピードというコンセプトに加え、997の6気筒エンジンでは空気供給を最適化して性能を向上。さらにここで初めてポルシェ・アクティブサスペンション・マネジメント(PASM)を搭載。
2009年にはアップグレードがされ(997.2)、エンジンの排気量が3.8リットルとなり出力は320kW(435PS)に。
さらにより迫力のあるドライビングエクスペリエンスを実現するためにシャーシコンポーネントと空力性能も改良。例えばリアウイングの再設計やアンダーボディを完全にカバーするなど。
これによりダウンフォースが効果的に増加し、接地圧が前モデルに比べて2倍以上になったとのことです。
991型 GT3
2013年にはジュネーブ国際モーターショーにて新たな991世代のGT3が登場。この年はポルシェ911の50周年も記念されていた年となっていて、GT3もそれを記念して完全な再開発がされたそうで、その再開発はエンジン、ギアボックス、ボディやシャーシに至るまで。
3.8リッターの水平対向エンジンは350kW(475PS)の出力を発揮し、最高速度は315km/hに。
そしてここでの大きな革命としてはGT3にPDKが導入されたということで、これによりシフト時間が大幅に短縮されパフォーマンスが向上。
アクティブリアアクスルステアリングと、その他の空力改良を備えた新しいシャーシにより991型のGT3は史上最も機敏で正確な911の1つになったとのことです。ニュルブルクリンク北コースでの記録は7分30秒未満。
ここから4年後の2017年、991.2世代が誕生。水平対向6気筒エンジンは排気量が4.0リッターに拡大、最高出力は368kW(500PS)に。
さらにトランスミッションはPDKと6速マニュアルの2つから選択できるように。6速MTは純粋主義のドライバーに人気があり、この世代からはオプションでツーリングパッケージ(固定式リアウイングを自動展開スポイラーに置き換えたもの)も登場。
992型 GT3
現行の911 GT3である992.1世代の911は2021年に発表。
4.0リッター水平対向6気筒エンジンは375kW(510PS)。ダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションや、スワンネック型リアウイングによる最適化された空力特性などの革新的なレーシングテクノロジーによりGT3は試乗もっとも先進的な911に。
こうして最初のGT3の発表から25年がたった今でも、911 GT3はスポーツ性能と技術革新の代名詞としてあり続け、ポルシェはGT3のサクセスストーリーを継続するために進歩を続けているとのこと。
…という今回の25年のGT3の歴史をポルシェが改めて振り返るとこからの~…2024年10月18日のNew GT3 (992.2)発表となるわけですね!!(これで違ったらびっくりする(笑))。
992.2型GT3がどのような形で出てくるのか、今からとても楽しみです^^
参照記事:992.2型初のポルシェ911GTカーがワールドプレミアへ
→続き:992.2型 ポルシェ911 GT3、GT3ツーリングパッケージ発表
出典:(公式)Porsche celebrates the 911 GT3: 25 years of performance and passion