Trunk Entrapment (トランク・エントラップメント/トランク閉じ込め)
先日、ポルシェ718ケイマンGT4のフロントのトランク内部には、万が一トランクの中に閉じ込められてしまった時の為に、トランクの内側からトランクを開ける為のハンドルである、脱出プル(Escape Pull)がついているということを書いていました。
このことを書いていたとき、自分でもその時のブログに、このトランクを内側から開ける機能について、
『なんだかいかにもアメリカ仕様っていう感じがしてしまいますが、そんなことないのですよね?どの718ケイマンGT4にもついているの…ですよね?!』
と、私自身も書いていて、なんとなく「これアメリカ仕様なだけ?日本だと911でもこんな内側からトランクを開けるハンドルなんて見たことないし、そもそももしこれが標準の仕様だとしたら、なぜケイマンGT4にだけ?」と自分の中に色々と疑問が残っていたのです。
参照記事:2020ポルシェ718ケイマンGT4にはどのくらい荷物を積むことが出来るのか
そして、今回そんな疑問を晴らして下さった方が!
そう、ポルシェを良く知っている方についつい「どうして911には内側からトランクをあけるハンドルがついていないのに、この718ケイマンGT4にだけはついているの??もしかして、ケイマンの方が犯罪率が高かったりするの(笑)?」なんて、またしてもおバカなことを言っていた私。
そうしたら、日本国内で販売されている718ケイマンGT4のトランクを確認して下さったのです。ありがとうございます~^^
それで、そう、そこには!!
なかったのですよ、トランクを内側からあけるハンドルが。存在していなかった~!!
気になった私は、いつものことですが、即調べ始めました^^
「これはもしや、本当にこのトランク内側からの脱出用ハンドルはアメリカ向けの仕様であって、実はヨーロッパや日本仕様にはなく、逆にアメリカではポルシェ911とか他のモデルにも脱出用ハンドルがあるのではないか」と。
ヨーロッパ仕様の718ケイマンGT4のトランク
まずは見て下さい。こちら。
これ、ヨーロッパ仕様の718ケイマンGT4です。ナンバープレートからも、ヨーロッパ用の車ということがわかるでしょうか?↓
こちらの718ケイマンGT4、このようにフロントトランクの中を見ても、内側からの脱出用ハンドルが存在していないのです。
ん~、本当になかった!
反対側を見てもありません。
そして、内側からの脱出プルはないものの、ドイツでは携帯が必須で義務づけられている警告トライアングルである三角停止表示板が設置されています(赤い棒に見えているもの)↓。
アメリカ仕様の718ケイマンGT4のトランク
そしてこちらが、上と同じ様な黄色の718ケイマンGT4なのですが…
ナンバープレートを見て頂けたらおわかりの通り、こちらはアメリカで納車されているアメリカ仕様のもの↓
このフロントトランクには、三角停止表示板の設置がなく、向かって左側に暗闇で光る発光タイプの脱出プルが存在していることがわかります↓
やっぱり、これアメリカ仕様のモデルにのみ存在しているものだったのね~!!(いや、世界は広いので他の国でも義務付けられているところがあるかもしれません)
さらになぜアメリカ仕様だけはこの内側からトランクを開けるラッチが存在するのかを調べてみたところ、こちらを発見。
アメリカではトランク内側からのリリースラッチが法律で義務化
そうなのです。
これによるとアメリカでは2001年9月1日から法律として「車のトランクには、トランクに閉じ込められてしまった時に内側からトランクを開けられる為のリリース・ラッチを設置しなければならない」ということが定められていたのです↓
はは~、だからアメリカで納車される車には、ケイマンだからとか911だからとかポルシェだから、とかを問わずトランク内部からトランクを開けられるような何かが設置されているということなのですね。
ポルシェ911の996型が発表されたのが1997年、そしてこの法律が適用され始めたのが2001年、続いてポルシェ911の997型が発表されたのが2004年。
となると、ポルシェ911の997型からはこのトランクを内側から開けられるリリースラッチがなければいけないということになります。
ポルシェ911 997型からトランクの内側からの脱出プルが存在
で、もちろん確認。これがポルシェ911(997)のアメリカでのマニュアルです。
ばっちり、トランクに閉じ込められた時用の内側からトランクを開ける機能が掲載されていました。おおお~。なんだか感動(笑)↓
いや~、718ケイマンGT4にどのくらいの荷物を積むことが出来るかということを見ていたことから、こんなアメリカの法改正と国によってのポルシェ仕様の違いなどまでがわかって、とても楽しかったです^^
並行輸入などでアメリカ仕様のポルシェを所有されている方には、このトランク内側からの脱出プル(リリースラッチ)があるわけですね。見てみたい~。
トランク内側からのリリースラッチを作動するとエンジンフードも開く
あ、最後にこのトランク内側からのリリースラッチを「見てみたい、触ってみたい、開けてみたい」という気軽な思いで、こちらの内側からのトランクオープンを試みたい…と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でもこれご注意を。
トランクの内側からのリリースハンドルを作動させると、なぜかトランクだけではなく、リアのエンジンフードまで同時に開いてしまう仕様になっているようです。
よって、そのことに気づかずに1度内側からのトランクリリースを開けてしまうと、その後「ずっと何かエラーが出続ける!」と慌てることになることがあるようなのでご注意ください^^ ↓
万が一、トランク内側からのトランク・リリースを使われた時は、フロントのトランクを閉めると同時に、リアのエンジンフードもちゃんと閉まっているかを再度ご確認下さい。そちらも閉めたら、エラーが消えるそうです。
は~、なんだか色々すっきり^^!
出典:
◆Federal Motor Vehicle Safety Standards; Interior Trunk Release
◆The 2020 Porsche Cayman GT4 Is My Favorite New Porsche
◆2020 Porsche 718 Cayman GT4: In-Depth Exterior and Interior Tour + Exhaust.
◆Have you seen this message? See photo.