ミッションXのビジョンはニュルブルクリンク北コースで最速の公道走行車両となること
ポルシェ75周年をお祝いする『75 Years of Porsche Sports Cars』展の前夜である2023年6月8日に、ポルシェからコンセプトスタディである『ミッションX (Mission X)』が発表されました。
発表内容の中にはミッションXの重量、電気駆動ユニット数、また駆動アクスル数などへの言及はなく、さらにステアリングにはパドルがあるということからトランスミッションを制御することも可能?(タイカンは2速トランスミッション)などの疑問は色々あるようですが、まずは発表された内容を見ていきたいと思います。
ミッションXの目標は、この車が量産化された時にニュルブルクリンクで公道走行が可能な車両として最速になることだそう。
私としては何がびっくりだったかというとドアが上に開く仕様だったことかな。
この上に開くドアはメーカーによって「バタフライドア」とか「ガルウィング」とか「ディヘドラルドア」とかその形状によって色々呼び方が違うわけですが、今回ポルシェはこの上に開くドアのことを「ル・マンスタイル・ドア」を呼ぶことに決めたみたいですね^^
ではこのミッションXとは何か?の詳細を、発表された内容で確認していきたいと思います。
- ポルシェのミッションXは未来のスポーツカーのビーコン(誘導するもの)となるもの
- 過去数十年の間に発表されてきた象徴的なスポーツカーを継承している
- ポルシェ959、カレラGT、そして918スパイダーと同様に、ミッションXは将来の車両コンセプトの進化的発展に重要な推進力を与えるもの
- ポルシェAGのCEOオリバーブルーメ氏いわく「ポルシェにとって夢を見ること( Daring to dream)と、夢の車(Dream car)はコインの裏表みたいなもの(=同じことという意味)、ポルシェがポルシェとしてあり続けるためには常に変化することによってのみ」
- スタイルポルシェ責任者であるMichael Mauer氏いわく「ミッションXはポルシェブランドのコアへの明確なコミットメント。ポルシェブランドと製品のアイデンティティを継続的に強化して表現していくことは、量産モデルの開発をナビゲートする為の重要な羅針盤。このコンセプトスタディは全体としてとてもラグジュアリーな印象を持つ紛れもないモータースポーツのDNAを象徴している」
- 全長約4.5メートル、幅約2メートルで、ハイパーカーとしては比較的コンパクトサイズ
- ホイールベースは2.73メートルで、カレラGTや918スパイダーと同じ
- エアロダイナミクス的な理由により、前後に違うサイズのタイヤを装着。フロントが20インチ、リアが21インチ
ミッションXのデザイン:クラシックなブランド要素を再解釈
- ミッションXは最高のパフォーマンスとモダン・ラグジュアリーを体現
- それと同時に、その彫刻的なフォルムと力強いラインはハイパーカーが攻撃的に見える必要がないということも示している
- 車高1.2メートル未満につくられたボディワークは、コンセプトスタディの為に特別にデザインされた「ロケットメタリック(Rocket Metallic)」カラーでペイント
- カーボン織り仕上げのデザインがベルトラインの下に。これらコンポーネントには光沢塗装のサテン仕上げのためわずかに色がついているものの、その構造は見てとることが出来る
- ミッションXのホイールには精巧なディテールがあり、リアアクスルにはほぼ透明なエアロブレードが取り付けられ、ブレーキの冷却を高める為のタービンのように設計されている
- 運転席/助手席上部には炭素繊維強化プラスチックで作られた外骨格を備えた軽量ガラスドーム
- ル・マンスタイルのドアはAピラーとルーフに取り付けられており、前方と上方に開く
- このタイプのドアは過去に伝説的なレースカーであるポルシェ917に採用されていた
- もう1つ目を引くものはライト・シグネチャー。ミッションXではデザイナーがポルシェの特徴的な4灯式ライトを再解釈
- ヘッドライトの縦長のベースフォルムはポルシェ906や908などの歴史的なレーシングカーからのインスピレーションを受けている
- ハイテクのサポート構造がLEDライトモジュールを囲みとても狭くデイタイムラニングライトとウインカー要素を見せているが、これはライトがアクティベートされた時には瞬きをするようにライトが開き、完全に点灯された時にはヘッドライトが自信を持って主張するようになる
ミッションXは新しいクレストを装着
- 浮かんでいるように見える全長のライトユニットがミッションXの後部を特徴づけている
- 透明、照らされたPORSCHEの文字がとても際立っている
- まるで空中に浮いているかのように見える彫刻的なリアライトは、最新のサポート構造により4つのセグメントに分かれて車両の幅全体に広がっている
- 充電中には「E」という文字が脈動し、神秘的な雰囲気を演出
- 先日発表された新しいクレストはこのミッションXで初登場となる
- 発表された新クレストについてはこちら→ ポルシェがクレストのデザインを変更へ:車には2023年末から適用
- ミッションXでは新クレストが設置されるボンネットとステアリングホイールに加え、ホイールセンターにもモノクロのクレストが付けられる
- ドライバ―フォーカスであることはアシンメトリーなインテリアとそのカラーコンセプトに現れている
- 2つのシートは色が違い、アンダルシア・ブラウン(Andalusia Brown)のレザーパッドを除けば、運転席はカラハリ・グレー(Kalahari Grey)でセンターコンソールやダッシュボードと一体の色を形成。助手席は対照的なアンダルシア・ブラウンの色合いとなっている
- 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)シートシェルとモノコックに統合された6点式シートベルトの他に、モードスイッチとシフトパドルを備えたオープントップステアリングホイール
- 複数のオンボードカメラも搭載されており、ドライバーがマルチパーパス・コントローラーのRECボタンを押すとすぐに録画が開始される
- もう1つのハイライトは助手席側にあり、ストップウォッチモジュールを取り付けることが出来るバヨネットシステムがインストルメントパネルに埋め込まれている
- ミッションXの為にポルシェデザインはアナログとデジタルディスプレイを備えた特別なストップウォッチモジュールを作成、この時計はレーストラックとラリーの両方で使用できる設計となっていて、ラップタイムやドライバーの倍たるデータなどの情報表示が可能
ミッションXのテクニカルビジョン:パワーウェイトレシオ、ダウンフォース、充電性能においてトップマーク
- ポルシェはeパフォーマンスを体現すると同時に、サステナブルモビリティの先駆者でもある
- コンセプトスタディはこの両方を目的を完全に満たしており、ミッションXが量産されることになればミッションXは:
- ニュルブルクリンク北コース周辺で最速の公道走行車両になる
- パワーウェイトレシオは1キロあたり約1PS
- 現在のポルシェ911 GT3 RSが提供するダウンフォース値をはるかに上回るダウンフォース値を達成する
- 900ボルトのシステムアーキテクチャにより充電性能が大幅に向上、現在のタイカンターボSの約2倍の速さで充電が可能に
- ミッションXのバッテリーは車両の座席後ろの中央部に取り付けられている
- この「eコア・レイアウト」は車内質量を中心に配置、従来のミッドシップエンジン車と同様に、これが優れた機敏性の基盤となっている
以上が2023年6月8日に発表された内容となります。
ミッションEとして発表されていた車も、のちにタイカンとして登場していますし、今回のミッションXも明確に「公道走行可能な車でニュル最速になる」という目標を掲げていることから、きっといつかは量産車として発表されることになるものと思います。
ただ、ミッションEで観音開きだったタイカンは量産時にはいわゆる普通のドアになっていたので、このミッションXのル・マンスタイルドアはどうなるのかな…^^
あ、そういえばポルシェ911 STはまだ発表されませんでしたね?
出典:
◆(公式)Porsche Mission X: yet another dream takes shape
◆Porsche’s Mission X is an all-electric hypercar concept
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