ラジエーターシャッターが開く条件と閉じる条件
えっと、もう世の中992.2型のポルシェ911が登場してきている時代に唐突に今更何を急に991.2世代のことを話し始めたのかと不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、気になっちゃったのでしかたない(開き直り^^)。
私が最も愛する黒カレラが991.2型であり、この黒カレラのフロント左右ラジエーター前にあるシャッターみたいになっている部分…いわゆるフラップと呼ばれる、上下にパカパカ開け閉めできそうなところ(992.2型のGTSから縦型になったところ)のお話です。
この部分の正式名称は「アクティブ・クーリング・エアフラップ」らしく、アクティブという名前がついているだけあって固定ではなく可動式。
でもここが実際に開け閉めしているところなんて見たことがないし、言ってみれば「駐車場に停められているポルシェ911(991.2以降世代)」は私の記憶にある限り、ほぼみなさんこのフラップは「オープン」状態。
いや、じゃああなた一体いつ閉じてるのよ??
というわけで気になったので調べてみました。
ポルシェ911カレラのアクティブクーリングエアフラップとは
大変ありがたいことに991.2カレラの『2017 Service Information Technik』(そのうちのセクション2.8.4)をネットにあげていてくださっている方がいたのでそちらで確認しました。ありがたい…!
それがこちら:

つまりまずはこのアクティブ・クーリング・エアフラップがなんぞやという説明によると、これは:
- サーキット走行を想定して設計されていて多量の冷却空気を左右のラジエーターに導くようになっている
- サーキット以外では冷却の必要性が低下するため、エアフラップを使って空気の流れを制限することが出来る、これにより車両を通過する空気量が減り空気抵抗の低減が可能となる
- 2017年モデルの911カレラに搭載されているクーリングエアフラップは常に必要に応じた電動制御による冷却を実現
- NEDCサイクルでの燃費向上が見られるだけでなく特に日常の運転においてその効果が実感できる
- クーリングエアフラップは、エンジン、トランスミッション、エアコンの冷却要求と車両内部を流れる空気によるエネルギーロス、そして電動ファンの動作状況を踏まえて最適化される
- 車両全体の効率性を考慮しその時々の走行状態に応じてフラップ開度とラジエーターのファン作動の最適な組み合わせをリアルタイムで計算するシステム
- 最大限の効率を得るためにフラップは計5段階に設定可能(開ける、閉じる、とその中間に3段階)
なるほど、なるほど。
いつ開いて、いつ閉じるのか
そして続いて気になるのが、いったいこのフラップはいつ閉じて、いつ開くのかですよね。
その条件が以下の通り:
【ラジエーターシャッターが開く時】
- SPORT PLUSモード、PSMスポーツアクティブ、またはPSMオフ状態の時
- 車速が時速15km未満、または時速170km以上の時
- 外気温が45℃以上の時
- モバイル端末の接続中かつ車速が時速120km以上の時
【ラジエーターシャッターが閉じる時】
- コースティング走行中
- 冷却の必要がないとき
なるほどね~。
ということは、ノーマルモードで時速15キロ以上170キロ未満の速度で街中を普通に走っている時はほとんどの場合実は閉じているということなのか!!
今度すれ違うポルシェを見てみよう…^^
あとは、サービスインフォメーションに掲載されている画像をもう1度見てみると、アクティブクーリングエアフラップの近くに「Servo motor for cooling-air flaps」というものがあることがわかります。

これがこのフラップの5段階の開け閉めの調整をしているというわけですね(動きの制御)。
そして本日。黒カレラではないのですが(違うんかい)、992.1型のカレラTでドライブに行って帰ってきた時のことです。※細かい開閉条件は991.2と992.1ではまた違うかもしれません。
ふと車を停めた…というか、停止させたすぐ直後にこのフラップを確認してみたところ、ん?おおお?これは!

わかります?
ちょっとライトがまだついている&雨がついていて見づらいですが…これ、完全に閉まってはいませんがちょっと閉じている「5段階のうちの3段階目くらい?」なのではないでしょうか。

「そうかーちゃんと動いていたのか。知らなかった。いつも開いてるところしか見たことがなかったなー」
なんて思って、閉じてたっぽいフラップを見て嬉しくなってニヤニヤしながらそまま車を駐車場に停めました。
そして車を完全に駐車場内に格納してから「いや~フラップちょっと閉まり気味だったな~」ともう1度みてみると、あらヤダ。

ね!完全に開いてる!!
凄い。
こんな動きをしていたのですね~。これ、最初の写真を撮った「2分後」に撮っていた写真です。

つまりたぶんですが、今回の私は普通にのんびりとノーマルモードで都内を走ってきただけであったことから「コースティング走行/冷却の必要がない」という条件に当てはまっていた為に走行中はフラップが空気抵抗を減らすために「閉じて」いたのだと思います。
それが今度は駐車場に入ってきたことから速度が遅くなり、今度は「車速が時速15km未満、または時速170km以上の時」という条件に当てはまったことから、私が最初の写真を見た時には「コースティング走行で閉まっていたフラップが、時速15㎞以下になったので開き始めた途中」で、その後そのまま駐車場にとめただけなのでずっと時速は15㎞以下ということからフラップはフルフルに開いた、と。
その状態で私が駐車完了してエンジンをとめたのでシャッター(フラップ)が開きっぱなしの状態でとまっていたのだと思います。
こういうことだから駐車場に停められているポルシェのフラップはみなさん「開いている」わけなのですね。
いや~、納得、納得。
最後にこちらがフラップが上下する様子の動画(0:18)です:
今更にこんなお話を長々とすみません(笑)。
でもこれを調べたくなったのには理由がありまして、その理由は…また近いうちに書かせて頂けたらと思います^^!
出典:Operation of Air Cooling Flaps 991.2
関連記事:
◆ポルシェ992 ターボSのポルシェ・アクティブ・エアロダイナミクス(PAA)を見てみる
◆最新ポルシェ911:ポルシェ992のウェットモードとは
◆ポルシェ911 (992.2型)ワールドプレミア:911カレラとGTSが発表に