ポルシェの『ブランド・プロテクション・チーム』
ポルシェの車に使用されるパーツなどは、長くポルシェを安全に利用できるよう、きちんとした高品質のポルシェ純正パーツを使うことが重要であるわけですが、そうはいっても世の中にはたくさんの(純正ではない)「偽物」が出回っているのが現実だそう。
ポルシェ公式サイトに、そのような「ポルシェの偽物グッズ」についてが書かれていました。
ポルシェのツッフェンハウゼン(Zuffenhausen)で勤務しているAndreas Kirchgäßner氏のオフィスには、たくさんのポルシェグッズが置いてあるものの、それはもう、ほぼ全部ニセモノなのだそう。
ポルシェのクレストロゴが入った、ポルシェの温度計やスマホケース、ポルシェのカギの形をしたUSBメモリ、それにパナメーラのリアライトなど。すべて偽物。
こちらのAndreasさん、いったい何者なのかというと、ポルシェの『ブランド・プロテクション・チーム』の一員。他のメンバーは弁護士のThomas Fischer氏とMichaela Stoiber氏。この3名で、世界中にはびこるポルシェのニセモノたちを追跡、排除することで、ポルシェブランドを守っているとのことです。
ポルシェの偽物商品の総額は1年で約71億円、20万点
昨年には、60億ユーロ(約71億円)相当に値する20万点以上の商品が没収されたそうです。そのうち、3.3万点の商品は、200万ユーロ(約2.4億円)以上に相当する、自動車スペア部品(の偽物)であったのだとか。
これらの偽物商品たちは、アマゾンやeBay、またはAlibabaなどのオンラインで取引されることが多く、また、帽子やTシャツなどのプロモーショングッズ的なものは、シュトゥットガルトや香港などで開催されるフェアなどで販売されることも多々。
ポルシェの偽物を見つけるのは、比較的簡単で、
- 本物よりはるかに安い
- クレストのつくりが貧相
- クレストの中央にいる動物が馬じゃなかったりする
などから、わかるのだそう。
最後の「クレストの中央が馬ではない」というのもの例えとしては、馬の代わりにクレストの中央に後ろ足で立っている羊がいたりすることもあるのだとか(笑)。それ、ちょっと可愛いっぽいので、見てみたい気もしちゃいます^^
過去にはトルコで、バイアグラみたいな効力を持つ薬が、ポルシェのクレストの形をして売られていたこともあったそうです…って、そんな薬をわざわざポルシェクレストにしたからといって、売り上げ変わるのかな…??なんて思っちゃいますが。
あと、例えばこちら↓ 箱に「Kontrolllerte Qualitat」と書いてありますが、これ、ドイツ語で正しくは「Kontrollierte Qualität」と表記されているはずのもの。つまりは偽物です。
偽物のスペアパーツはどんどん増えているそうで、それらの多くは消耗品で、ちょこちょこ交換が必要になるもの…例えば、ホイールのセンターキャップや、エアーフィルタ、リム、エアーバッグにブレーキディスクなど。
これらに、ポルシェロゴが入れば、より高く販売することが出来るようになるため、やっぱり偽物はあとを絶たない、と。
ただ、これら偽物は安全性のテストもされていなければ、承認された商品であるわけではないので、ポルシェのブランドプロテクションチームは、これらの商品をポルシェに取り付けてもらいたくないが故、がんばって偽物商品対策をされているそうです。
ポルシェの偽物パーツ・グッズの80%は中国から
偽物の80%は中国から来ているそう。
偽物商品にも様々な品質レベルがあるので、特に高品質な偽物は、専門家が見ても偽物かどうか判断がつかないようなものもあるとのことです。
中国の深センが偽物作りとしての主要な町の1つであるので、ポルシェの担当者や探偵機関などで年に数回、深センを訪れ、事前調査のもと、現地での状況観察や覆面調査(偽物の購入)などを行っているそうです。
税関からも偽物商品に関する貴重な情報がポルシェに入ることがあるものの、そこで偽物をチェックできるのはわずか1~2%くらい。
あとはオンラインでのプラットフォーム上(イーべイやアリババなど)での偽物対策をする方が、より良く機能しているとのこと。
怪しい商品をシステマチックにスキャンし、掲載されている商品が怪しい商品(偽物)と判断されたら、その商品はリスティングからはずされるようなっている、と。
繰り返し偽物商品を販売する行為が認められた時には、出品者に警告通知がされたりという対策が取られ、そのような対策をしてきたことにより、この1年で削除を必要とするリスティング商品は1/3まで減ったそうです。
それでも、まだまだこの偽物商品の出現との闘いは終わることがないようで、3名のポルシェブランド保護チームメンバーは、これからもポルシェの偽物グッズを撲滅させるべく、取り組んでいかれるわけですね。
確かに、日用品的なグッズであれば、ポルシェカラーっぽいものに、ポルシェのロゴやクレストがついていれば、それっぽく見えてしまうわけで、偽物なのかどうかの判断がつかないのはわかるような気がします。
考えてみたら、私もポルシェのキーカバーは中国製のものに変えているし!!…でも、これは偽物という扱いではないのかな…リスティングからも削除されていないし、特に「純正」をうたっていないし??
あ、そうか、これはただのサードパーティーのキーカバー、というスタンスですね。ポルシェのロゴやクレストも入っていないので。
車の部品の偽物は安全性が確かではない
車のパーツ系のものでの偽物は、ポルシェのブランド保護チームの方々が言っている通り、やっぱりちょっと怖い気がします。何がどう違うのかわからない私のような素人であれば、素人であるほど、純正でないと怖くてしかたないです。
というわけで、たぶん私はこれからも、何かあった時にはやっぱりポルシェセンターにお世話になると思います^^
深センに行くことがあったら、偽物ポルシェグッズはついつい探しちゃうとは思いますが。買うとは言ってません…ポルシェグッズが…すっごく可愛いのが激安でも…買わな…たぶん…(笑)。
ポルシェ911 RSR プロトタイプ7番の偽物?
ちなみに「ポルシェの偽物」といえば、もう1つ。
『Porsche 911 RSR Prototype#7』をめぐっての訴訟が起きているそうです。1973年のポルシェ911 RSRといえば、めちゃめちゃレアなポルシェとして知られている、まさに1973年に「8台のプロトタイプ」しか製造されなかったもの。
オークションでしか売買されないようなポルシェであり、凄い金額が動くものであるため、偽物もでまわる…ようなのです。
なぜか2台存在しているPorsche 911 RSR Prototype#7
カリフォルニアのヴィンテージカー・レーサーであるJacob Shalitさん。彼いわく、彼は2008年にポルシェ911RSR プロトタイプ#7を購入し、リストアしたとのこと。
ここで問題となるのは、美術商であり、かつ車コレクターでもあるKenny Schachterさんも、同じポルシェ911RSR プロトタイプ#7を所有していると主張しているというのです。
プロトタイプのこの7番は、ルマンで過去に4位という成績を残している車でもあり、大変価値があるもの。今回、このポルシェ911 RSR プロトタイプ#7をJacob Shalitさんが売りに出すことにしたので、この問題が発覚したようです。
どちらのポルシェ911RSRが本物なのかは、現在まだわかっていないようです。Kenny Schachterさんは、彼のポルシェはポルシェメカニックであるNorbert Singer氏によって、認証されていると主張。
対して、Jacob Shalitさんは、Kennyさんが「偽物を売っている」と主張。
どちらのポルシェが本物?
この車自体が、ポルシェにとっても歴史として、とても重要な車であるわけなので、もしかしたらポルシェがこの法的問題に介入して、どちらの車が本物なのかを確認する可能性もなきにもあらず…かもしれません、といったところのようです。
ポルシェが確認したら、すぐにでもわかるような気もしますが、これ、なかなかわからないことのようです。そんなにも見分けがつかないポルシェ911 RSRプロトタイプ#7を作れちゃうのは、それはそれで凄いかと思うのですが^^
いずれにせよ「あなたのポルシェは偽物でした」と言われた方は、ショックすぎる~!!
だって、お2人とも本当に自分のポルシェが本物だと信じきって、購入&所有していたわけですから。手に入れた時の金額も半端ないかと思われます。
ありえないことだけれど「奇跡的に両方とも本物でした」という結果になってあげてほしい…とさえ思っちゃう。結果が出たら知りたいな~。
出典:
◆ On the hunt for counterfeits
◆ Will the Real 1973 Porsche 911 RSR Prototype Please Stand Up