ドイツのポルシェSEがVW株で最大200億ユーロの減損処理の可能性があるということが2024年12月16日に報じられました。
以下、ロイターの記事からです:
- VWの筆頭株主であるポルシェSEは2024年12月13日にVWの株式価値を最大200億ユーロ減額する可能性があると警告
- これはVWのコスト危機(経営問題)が同メーカーに対する投資家の信頼を揺るがしていることを示す最新の兆候である
- VWは高コスト、アジアとの熾烈な競争、そして工場閉鎖や賃金削減をめぐる労働組合との長期にわたる激しい対立に苦しんでいる
- ポルシェSE(PSHG_p.DE)は、フォルクスワーゲン(VOWG_p.DE)の31.9%の株式と53.3%の議決権を保有している
- 同社は保有する株式の価値を70億~200億ユーロ(約1兆1,200億円~3兆2,000億円)減額する見込みだと発表
- VWの現在の時価総額に基づくとポルシェSEが保有するVW株式の価値は約143億ユーロ(約2兆2,880億円)
- VWはドイツ事業におけるコスト削減をめぐる労働組合との緊迫した交渉の影響で、年度内の財務計画を完了出来ていない
- その結果、ポルシェSEは予測の基準としてアナリストの予想に頼らざるを得なかった
- ポルシェSEは、ポルシェおよびピエヒ家の持株会社である
- 同社はポルシェAG(P911_p.DE)に対する12.5%の持ち株についても、10億~20億ユーロ(約1,600億円~3,200億円)の減損処理を見込んでいると発表
- ポルシェSEはこれらの減損はあくまで概算であると説明
- 理由として次の要因を挙げている:
- 市場環境における不確実性の増大
- いくつかの市場での需要が当初予想を下回ったこと
- 地政学的緊張や保護主義傾向の高まり
- ポルシェSEは2024年の税引き後のグループ業績が「大幅な赤字(significantly negative)」になると予想
- これに伴い当初の24億~44億ユーロ(約3,840億円~7,040億円)という業績予想を撤回
- それでも2024年度の配当は引き続き実施する見込み
- VWの配当はポルシェSEにとって最も重要な現金収入源の一つ
- LSEG(London Stock Exchange Group/ロンドン証券取引所グループ)の推計によると、VWの2024年最初の9カ月間の利益は前年同期比で3分の1減少していることを受け、VWの配当金は昨年の1株あたり9ユーロ(約1,440円)から約25%減少し6.75ユーロ(約1,080円)になる見通し
- 労働組合はコスト削減のためにVWの配当をさらに削減するよう経営陣に圧力をかけている
- しかしCFOは先週、VWの税引き後利益の少なくとも30%を配当として支払う方針を堅持すると述べた
- アナリストは以下の要因が組み合わさることでVWのフリーキャッシュフローは今後数年間でゼロに近づく可能性があると警告:
- 価格競争による圧力
- 中国合弁事業からの配当の減少
- 投資の継続による資金の確保
- これらの状況はポルシェSEの財務の安定性にとって悪影響を与える可能性がある
出典:Porsche SE to take up to $21 billion impairment on Volkswagen stake